月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
報知から読み解く巨人軍の不思議。
プチ鹿島6月のスポーツ新聞時評。
posted2017/06/30 17:00
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph by
Hideki Sugiyama
前回、「チームが好調な場合と不調な場合、“推し”スポーツ紙からどれだけ喜怒哀楽が伝わってくるか」というウオッチをしてみました。
『デイリースポーツ』(阪神推し)と『東京中日スポーツ』(中日推し)を例にとり、悲喜こもごもをお伝えした。
そんなことをしていたら、今月は巨大な事案が発生した。「巨人13連敗」である。球団ワースト。
巨人と言えば『スポーツ報知』。
もともと『報知新聞』という一般朝刊紙だったが、1949年に読売系列のスポーツ紙として再出発した経歴を持つ。当然と言うべきか「読売ジャイアンツ推し」。フリーペーパー『スポーツゴジラ』の「スポーツ新聞特集」(2016年5月発行分)では、『スポーツ報知』の記者みずから「巨人の機関紙」と説明していた。
そんな報知はこの13連敗をどう伝えたか。
巨人推し新聞の紙面に踊った緊急提言が即実現!
まず目を引いたのがこれ。
「由伸6連敗 打開策クルーズ使え!!」(6月1日)
交流戦2戦目、楽天の打撃力の前に連敗し、トータルで6連敗となった巨人。得点力アップのためにすべきことは何か? 巨人担当キャップの「提言」が報知の1面に載ったのである。それが「クルーズ使え!!」。
《「守り勝とう」なんて言っていられない。もう、大胆に動くしかない。例えば、クルーズの昇格だ。現状、4つの外国人枠をマギー、マイコラス、マシソン、カミネロで埋めている。チームの絶対的な4人だが、ここは目をつむり、カミネロを10日間だけ登録抹消してはどうか。(略)今は、クルーズの長打力がほしい。》
「推し球団」があるスポーツ新聞ならではの緊急提言である。
すると、興味深いことになった。
「1、2軍8選手入れ替え 守護神カミネロ抹消でクルーズ昇格」(6月2日『スポーツ報知WEB』)
さっそく「提言」の翌日にクルーズが一軍に昇格したのである!