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柏木「うちは引いて守るのが苦手」
浦和の守備崩壊、原因は何か。
posted2017/06/24 09:00
text by
轡田哲朗Tetsuro Kutsuwada
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
浦和レッズが、苦しんでいる。
国際大会であるAFCチャンピオンズリーグ(ACL)で準々決勝進出を果たしたものの、ここ数年は多くの勝ち点を積み上げてきたJリーグで思うように結果を残せていない。4月30日の大宮アルディージャ戦に敗れたところから不振に陥ったチームは、直近6試合で1勝1分4敗と残留を争っていてもおかしくない成績になっている。
18日のジュビロ磐田戦は、GK西川周作が失点シーンに分かりやすく絡んだものがあったにしても、4失点で敗れた。それも、2-1とリードしてからの逆転を許した試合展開であり、今季リードを守り切れずに引き分けあるいは敗戦となったゲームは、すでに3試合目になった。これでは、思うように勝ち点が伸びなくても仕方ない。
ボランチで出場を続ける柏木陽介は、磐田戦後に「個人的に思っている守備ができていない」と厳しい表情で話した。そして「うちは引いて守るのが苦手なんじゃないかな」と、撤退型の守備組織はチームの特性にマッチしていないのではないかと、疑問を呈した。
どこからでも点を取られてしまうような脆弱性。
柏木の話した内容は、過去に浦和を苦しめた問題点が復活してしまったことを示唆している。それが、「人数をかけても守れないチーム」という歴史だ。
浦和にミハイロ・ペトロヴィッチ監督が就任した2012年以来、最も印象的だったシーズンは2年目の2013年だ。リーグ最多の66得点を奪った攻撃は、本当にどこからでも点を取れるだった。その一方で56失点の守備は、どこからでも点を取られてしまう脆弱性があった。ペトロヴィッチ監督は、シーズン終了後に選手に対して「降格してもおかしくない失点の数だ」と話した。
2013年も、リードしながら勝ち切れないゲームが目についた。リードを奪うと後方に人数をかけて守ろうとするのだが、下がるだけの守備では相手選手の自由を奪うことができない。その年の秋からレギュラーGKの座を奪った山岸範宏(現ギラヴァンツ北九州)は「ペナ(ペナルティーエリア)の中で守るな!」と怒声を飛ばし続けていた。