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「日本ラグビーは驚くべき進化だ」
ジョセフHCが語るエディーとの違い。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byTomoki Momozono
posted2017/04/29 07:00
代表メンバーに鋭い視線を送るジョセフHC。エディー後のジャパンを託された責務は大きい一方で、充実感に満ちている。
フミをはじめとしたリーダーたちは素晴らしい働きだ。
――指導して短期間ではありますが、印象的な選手を挙げていただきたいのですが。
JJ たとえば、怪我で離脱してしまいましたが、ジョージア戦でトライを取ったレメキ(ロマノラヴァ)が目立った活躍を見せていますね。ただし、彼がトライを取ったシーンでも他の選手たちが良い働きをしていることを忘れてはなりません。
――何度かお話を聞いていますが、絶対に選手個人の評価を人前では話されませんね。例外はウェールズ戦の前の水曜日の会見で、LOの梶川喬介について話をした時だけではありませんか。
JJ (笑)。あの時は、質問を受けたので。彼は素晴らしいワークレートを誇っていますから、そのことは伝えたいと思いました。ただし、堀江(翔太)、立川(理道)、そしてフミ(田中史朗)をはじめとしたリーダーグループは、本当に素晴らしい働きをしています。
――彼らに話を聞くと、リーダーとしての仕事について深く、大切に考えているのが伝わってきます。
JJ ラグビーという競技では、リーダーの存在が本当に大切です。ゲームプランの理解、遂行だけでなく、マネジメントの部分で彼らの力が必要になります。特に、戦略を個々のユニットに落とし込んでいくために彼らのリーダーシップが必要になってきます。
選手が自主的に開いた“スタバ”ミーティング。
――ウェールズ戦のゲームデイの朝、とても印象的なシーンを見たんです。
JJ 朝? 何をです?
――選手たち数人がカーディフ市内のスターバックスで話し合いをしていました。邪魔してはいけないと思い、私は店を後にしましたが、とてもいい雰囲気だなと思ったのです。勝手に「今日はいい試合になるに違いない」と思えました。
JJ その予感は正解でしたね(笑)。その話を聞けて、私もうれしいですよ。そうしたちょっとした時間で、選手同士がコミュニケーションを図るというのは素晴らしいことです。リーダーたちはチーム全体によく目を配っているのではないですか。
――リーダーたちは「自分たちでどこまで出来るのか、ジェイミーさんに試されている気がする」という感想を持っています。
JJ 自分のコーチングでは「バランス」が重要だと考えているんです。選手たちに対して求めるものは当然ある。しかし、その一方で、選手たち自身で解決して、それを力に変えて欲しい部分もある。