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モウリーニョがファンハール化?
マンUの現実路線はプレミアよりEL。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2017/04/09 07:00

モウリーニョがファンハール化?マンUの現実路線はプレミアよりEL。<Number Web> photograph by Getty Images

その一挙手一投足が注目されるモウリーニョ。そのカリスマ性はいまだに指揮官として最高峰である。

ラッシュフォード、マルシャルに「もっと点を取れ」。

 問題は何よりフィニッシュの精度である。ウェストブロムウィッチ、エバートンと続いたホーム2連戦では、18本ずつシュートを放ったものの2試合で1得点のみ。それも、ズラタン・イブラヒモビッチのPKによる1点だ。

 3試合出場停止処分が解けた途端にネットを揺らしたイブラヒモビッチは、ただ一人チームの得点源と呼べる存在である。モウリーニョがウェストブロムウィッチ戦後にマーカス・ラッシュフォード、アントニー・マルシャル、ヘンリク・ムヒタリアン、ジェシー・リンガードの先発攻撃陣4名に「もっと点を取れ」と、注文を付けたのも無理はない。

 ウェストブロムウィッチ戦は、今季マンUが繰り返していた格下相手への取りこぼしの再現となった。もしすべて順当に勝利を収めていたとしたら、マンUは29試合で勝ち点68となる。消化試合が1つ多いチェルシーと4ポイント差で優勝を争うことも可能な位置だった。

モウリーニョの嘆き節には、ユーモアがある。

 結果以上に指揮官の嘆き節が、ファンハールを想起させる大きな要因となっているのかもしれない。

 前監督は選手の怪我、審判の判定、解説者の意見、メディアの論調など、言い訳に次ぐ言い訳を繰り返し、最終的にはファンの間でも失笑を買った。その中には「ゴール前で簡単なチャンスを物にできないようでは勝てない」とぼやいた攻撃陣の決定力不足も含まれている。

 そしてモウリーニョも、勝利を逃した試合後に様々な理由を挙げている。前任者との差は、その発言に多少のユーモアが感じられる点だ。

 攻撃陣への注文は「驚異的」と持ち上げた守備陣との比較付きだった。主力に故障が重なると、「選択肢がないからスタメンを選ぶのも楽だ」とジョークを飛ばした。「もう罰金制裁はご免だから何も言えない」という発言からは、判定への不満が理解できる。何かと理屈をこねくり回すメディアの面々のことは、皮肉たっぷりに「アインシュタイン」と呼んでいる。

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