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モウリーニョがファンハール化?
マンUの現実路線はプレミアよりEL。

posted2017/04/09 07:00

 
モウリーニョがファンハール化?マンUの現実路線はプレミアよりEL。<Number Web> photograph by Getty Images

その一挙手一投足が注目されるモウリーニョ。そのカリスマ性はいまだに指揮官として最高峰である。

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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 今季からジョゼ・モウリーニョが率いるマンチェスター・ユナイテッドは、プレミアリーグで10節から負け知らず。そう聞けば、さすがはモウリーニョと言いたくなる好成績と思われるかもしれない。

 他の上位勢はどうか。リーグ優勝へと力走を続けるチェルシーは、4月1日のクリスタルパレス戦で黒星を喫したものの、約3カ月にわたって無敗を継続していた。2位のトッテナムは、ホームでのリーグ戦15試合で13勝2引き分けの好成績を残している。

 しかし、マンUの連続無敗は少々事情が異なる。無敗記録を継続した期間で、上昇した順位は1つだけ。それも来季CL出場圏外の7位から6位ときている。停滞の原因は、20試合中10試合で喫した引き分けの多さ。後半戦ではホームでまだ1勝しかできていない。つまり、「負けない」のではなく「勝てない」のだ。

「ジョゼ・ファンハール」と皮肉られる現状に……。

 それもあってか指揮官は、記者陣の間で「ジョゼ・ファンハール」と呼ばれ始めた。ボール支配にこだわりすぎるがゆえ、脅威に欠けるチームにしてしまったと言われる、ルイス・ファンハール前監督と同類という意味だ。

 今季のモウリーニョは、昨年10月にリーグ戦4試合で勝ち星を挙げられず、お馴染みの「スペシャル・ワン」ならぬ「アベレージ・ワン(凡庸なる者)」とメディアで呼ばれたこともある。ただ当人にすれば、「ジョゼ・ファンハール」はそれにも増して聞き捨てならないニックネームだろう。

 モウリーニョにとってのファンハールは、指導者としての形成期にバルセロナで助監督として支えた、かつてのボスでもある。だが、監督として独り立ちした後は袂を分かった。マンUでは「がんじがらめの指導で選手の本能や感性を抑圧した」と、チームの問題を前監督に求める発言までしている。

【次ページ】 実はファンハール就任1年目よりも勝ち点が少ない。

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