野球場に散らばった余談としてBACK NUMBER
世代交代中の阪神を牽引する新主将。
福留孝介、若手を鼓舞する40歳の経験。
text by
酒井俊作(日刊スポーツ)Shunsaku Sakai(Nikkan Sports)
photograph byKyodo News
posted2017/03/30 07:00
春季キャンプの守備練習にて。若手の横田(左)、高山(中)らに声をかける福留。左胸の上には、キャプテンを表す「C」のマークが。
「僕が経験してきたことをうまく伝えたい」
あくまで自然体でグラウンドに立つ。
キャプテン就任に際して、金本監督からは「いままで通りやってくれ」と声を掛けられた。ひょうひょうとした立ち居振る舞いで、まるで気負いはない。昨年12月、契約更改後の席上でも「特に何も変わりません。いままでやってきたことを変えるつもりもありません」と話していた。
さらに、こうも言う。「その場その場で、僕がいままで経験してきたことをうまく伝えたりできればいいのかな」。ドラフト1位ルーキーの大山悠輔にも垣根を作らず、話し掛けた。若手に外野守備について細かいアドバイスを重ねた。
勝つために仏になり、鬼にもなる。
昨年6月の敵地広島戦でサヨナラの落球失策を犯した中谷将大がベンチに戻る際は肩に手をかけて言葉を掛けた。「誰でもミスはある。これも1つの勉強。プレーが小さくなるのは絶対によくないぞ」と励ましたのは周知の話だ。また、8月の中日戦では乱調の藤浪晋太郎がベースカバーに遅れ、ベンチの奥で叱った。野手最年長らしい気遣いと厳しさがある。
今年も若手主体の打線を組むなかで、金本監督からは中軸として期待される。チームにとっては欠くことのできない「心棒」のような存在だろう。
「キャプテン」の由来といわれるラテン語の“caput”は「頭」を意味する。百戦錬磨の知恵があり、先頭に立つ。ユニホームの左胸に「C」のマークを縫いつけて、いざ、開幕へと向かう。