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東京ドロンパが「I have a OKUBO」。
多摩川クラシコは、嘉人を巡る戦い。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2017/03/17 08:00
昨季までブーイングを浴びせた東京サポーターが味方に、声援を送った川崎サポーターが敵に。大久保を中心に、多摩川クラシコが燃え上がるのは必至だ。
川崎は広州相手に「まるでバルサ」のような戦いぶり。
明暗が大きく分かれたのは、第3節だ。
柏レイソルと対戦した川崎は1トップに本来MFの阿部浩之を、右MFに小林を起用した。1トップの阿部は言わば“偽9番”だ。動き回ってマークを引きつけたり、スペースを捻出したりする役目を担うと、小林やトップ下の中村、左MFの登里享平が飛び出していき、縦への推進力や迫力を取り戻すと、阿部のプレッシングを合図にチーム全体で連動したプレスを仕掛け、2-1で勝利した。
その4日後の3月14日、1-1で引き分けたACLの広州恒大戦でも後半はほぼ一方的に攻め込み、中国メディアに「まるでバルセロナのようなサッカーをやられてしまった」と嘆かせるゲームを見せた。
東京はウタカ、中島、前田らを起用するのも一手。
一方、ガンバ大阪と対戦した東京は、0-3と完敗。パスミスやマークミスを多発すると、79分には大久保がPKを失敗してしまい、良いところをまるで見せられなかった。
3月15日のルヴァンカップではベガルタ仙台に6-0と圧勝したが、互いにメンバーを大幅に入れ替えて臨んだゲーム。キャプテンの森重真人は「評価しにくい試合。これであの敗戦(G大阪戦)を取り戻せたとは思っていない」と気を引き締めていた。
選手の立ち位置と今季の戦い方がくっきりと見えた川崎にとって不安があるとしたら、中国でアウェーゲームを戦ったことによるコンディションの問題だろう。疲労を考慮してメンバーを入れ替えたり、早めの交代策に打って出たりするのか、しないのか。東京戦への臨み方やベンチワークで、今季から指揮を執る鬼木達監督の考え方が、より鮮明になるはずだ。
一方、リーグ戦でスタメンを固定してきた東京にとっては、メンバーを入れ替える好機かもしれない。ルヴァンカップの仙台戦で、昨季のJ1得点王で新加入のウタカの起用に目処が立ったため、ウタカをスーパーサブにして、中島翔哉をスタメンに回すのもひとつの手。あるいは、2列目を生かすことに長けた前田遼一を1トップで起用し、大久保をトップ下でプレーさせるのも一考だろう。