話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
千葉の特殊な守備を支える西野貴治。
元G大阪のエリートが楽しむ新環境。
posted2017/03/18 09:00
text by
佐藤俊Shun Sato
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J.LEAGUE PHOTOS
ジェフ千葉が、まだ3試合ながら湘南ベルマーレとともにJ2の首位に立った。
第3節では風間八宏監督が率いる名古屋を2-0で一蹴するなど、フアン・エスナイデル監督体制のチームには、変化と勢いが感じられる。選手もピッチで溌剌としたプレーを見せている。
その名古屋戦で完封勝利に貢献したのが左センターバックの西野貴治である。得意のヘディングで先制点を決め、守備では佐藤寿人らクセ者を前線に揃える名古屋の攻撃陣を封じた。
「ゼロに抑えて勝ったのは自分の自信になりますし、チームにとってもポジティブな結果になったと思います」
そう語る西野の表情は、すっかり千葉の主力選手の“顔”になっていた。
アンダー代表の常連だったが、ケガで長期離脱。
西野は今シーズン、ガンバ大阪から期限付き移籍で千葉に加入した。ガンバ大阪ジュニアユースからユースを経てトップに昇格。空中戦に強く、長身ながらアジリティーにも優れ、各世代別代表を経験。将来、ガンバの最終ラインを担うのはもちろん、日本代表でも活躍できる逸材と言われた。
ところがプロ3年目の2014年9月、U-21日本代表の一員としてアジア競技大会に参戦中、右膝内側半月板損傷の怪我を負った。そのシーズンはリーグ戦への復帰ができず、3冠達成にも貢献できなかった。
翌2015年、ケガが完治して復帰戦となった4月7日のACLブリーラム戦、悪夢が起きた。左第5中足骨を骨折したのだ。復帰したばかりだったが再度、3カ月の戦線離脱になったのである。
「もう最悪でした。ただ、自分でチャンスを潰していたというのもあるんで、どこかで1回空気を変えなあかんなって思っていたんです。昨年はリオ五輪があったけど出られへんかったし、1年間トップチームに絡むことができなかった。このままじゃヤバイと思ったし、そういう話をウッチー(現東京ヴェルディ・内田達也)とかとしていました。自分もいい年齢(23歳)やし、もっと成長せなあかんと思って外に出る決心をしたんです」