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中日・吉見が「うちならエース」。
SB石川柊太を激変させた6日間。
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKotaro Tajiri
posted2017/01/29 11:30
(左から)石川柊太、吉見一起、千賀滉大、岸本淳希。自主トレは球団の枠を超えて技術を磨き合える貴重な期間だ。
昨季念願の支配下登録を勝ち取っただが……。
2人はこれまで何度も投球フォームについて議論を交わしてきた。石川が千賀に質問攻めする場合がほとんどだったが、千賀にとっても一緒に考えて答えを導き出すことで頭の整理ができるのが利点だった。
石川は今年がプロ4年目。創価大学から育成ドラフト1位で入団した。当初はトルネード投法だったが、右肩を痛めたことで、千賀を参考にした投球フォームに変えた。
左足を上げる際に顔を三塁ベース方向に向けて“タメ”を作る。グラブを持つ左手や下半身の使い方も真似した。
昨季途中には剛速球が評価されて念願の支配下登録を勝ち取った。だが、一軍マウンドには立てなかった。投手の基本は低めに投げること。先述したキャッチボールで記した通り、石川はそれが出来なかった。
トレーニング合宿の課題は、まずそこの改善だった。
「猫背型」と「反り腰型」というシンプルな分類。
鴻江トレーナーの理論は独特ではあるが、実はシンプルだ。人間を2つのパターンに分けている。
「猫背型」と「反り腰型」。
人間が本来生まれ持った姿勢は猫背型である。赤ん坊が丸まって産まれてくるのをイメージしてもらうと分かりやすいだろう。その猫背型の体の構造は、右骨盤が内旋、後傾(被り)しているのに対して、左骨盤は外旋、前傾(開き)している。
左骨盤が開いていると、身体の動きとしては左回りはしやすく、右回りはしにくくなる。この猫背型を踏まえて考えてみれば、野球のベースも、陸上競技のトラックも、左回りに出来ている。
しかし、現代は反り腰型の人間が増えていると鴻江トレーナーは言う。