体のタイプとしては逆の千賀を真似ていた。

　反り腰型は左骨盤が被っており、左回転がしにくくなる。だが、その分だけ“壁”ができる特性を持っている。

　このタイプが増えたのは、生活習慣に起因している。特に椅子に座る生活が多くなったことで、背筋に力を入れて張らせ骨盤を立たせる習慣が身についた。本来使っていたお腹側よりも背中側を使う機会が増えて、猫背型が反り腰型へと変化する人が多くなっているのでは、とも鴻江トレーナーは説明している。

　説明が長くなってしまったが、つまりは野球においても「猫背型」か「反り腰型」によって、根本的な体の使い方（フォーム）が変わってくるのだ。そこを間違うと、最良のパフォーマンスが発揮できないどころか、故障につながりかねない。

　鴻江トレーナーはまず肩の高さを見てチェックをする。

「猫背タイプは右肩の高さが左肩よりも下がった状態。反り腰タイプは逆です」

　石川は「猫背型」で、千賀は「反り腰型」だ。とどのつまり、石川は自分とは逆のタイプの投げ方を真似ていたというわけだ。

「自分の道しるべを示してもらえました」

　そうなれば、投球の際の立ち方やグラブの位置、重心のかけ方、グラブを持つ左手の使い方が違ってくる。

　石川にとってはまさに目からウロコだった。

「自分でもずっと千賀を真似てやってきましたが、何かしっくりこないことの方が多かったんです。その意味がはっきりと分かりました」

　今年のコウノエキャンプには吉見も参加していた。吉見は石川と同じ「猫背型」だ。

「見た目のタイプじゃない。僕は吉見さんの投げ方を参考にしなければならない。まだ正解にたどり着いたわけじゃないけど、自分の道しるべを示してもらえました」

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