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ベイスターズの2016年は最高だった。
始まりは「またか」、最後は涙。 

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村瀬秀信

村瀬秀信Hidenobu Murase

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photograph byKyodo News

posted2017/01/01 11:30

ベイスターズの2016年は最高だった。始まりは「またか」、最後は涙。<Number Web> photograph by Kyodo News

CSで巨人を下した直後のラミレス監督とベイスターズナイン。ファンが勝利を信じられるようになったのも、彼らの真剣さがあればこそだ。

梶谷、山口、石川を欠いた3月4月は最下位スタート。

 さらにベイスターズのウィークポイントであるセンターラインの確定を命題とした。ラミレスの腹案では、攻守においてのキーマンに「2番センター梶谷(隆幸)」を指名。ショートにはその守備に対して絶対的な信頼を寄せる倉本寿彦。セカンドに石川雄洋、前年に“3本の矢”でも68暴投の日本記録に並び最大の弱点とされていた捕手には、春のキャンプで「夜、目を閉じるとトバシラが出てくる」と生きながら枕元にも立てるルーキー戸柱恭孝が大抜擢。

 シーズン前には高見山の「ニバイ、ニバイ!」よろしく「ビクトリー」とにこやかにやっていた指揮官も、シーズンが開幕する頃には、プラン通りに進まないチーム状況に頭を悩まされる。改革の看板としていたうちの、2番センター梶谷が脇腹を痛めて離脱。「エース」の指名を意気にして12月から体を作り、キャンプでも圧倒的な存在感を示していた山口俊が右足首ねんざで開幕に間に合わず、さらに石川雄洋も欠いたまま始まったシーズンで、いきなりどん底に突き落とされる。

 3月4月。ゴールデンルーキー今永昇太の14奪三振の快投は陽川尚将の一発で打ち砕かれ、ロマックのバットはことごとく空を斬る。移籍即連投で故障するまで投げた藤岡好明の献身も虚しく、9勝18敗2分けの最下位スタート。

復刻ユニフォームとクラフトビールに翻弄され。

 5月3日。東京ヤクルト戦でヤクルト山中に完封負けを喫して、膨らんだ借金は11。奇しくも同日に横浜大洋ホエールズの復刻ユニフォームが発売されたものだから、過去に縋る思いでヤケ買いした大洋ファンが続出。

 さらに新発売のクラフトビール「ベイスターズエール」の発売で尿酸値が爆上げとなった中高年にとって、早くも正念場となりかけた5月。

 流れを変えたのは4日に一軍に復帰した梶谷。そして6回無失点の石田健大だった。梶谷は5日にホームスチールを決めて嫌なムードを振り払うと、本調子ではないものの足と守備で存在感を示す。石田は生命線の膝元のストレートが冴えまくり、4試合4勝0敗防御率0.33と抜群の安定感で月間MVP獲得。

 勝星に見放され続けた今永昇太も5月6日の広島戦での初勝利を皮切りに同じく4試合4勝0敗防御率0.68と若い2人の左腕が台頭。5月成績16勝7敗1分の大逆襲で3月4月の過払い金をすべて帳消し。代表は名球会認定日本向け外国人監督のアレックス・ラミレス。順位も4位まで浮上してきた。

【次ページ】 交流戦を乗り切って、7月は筒香がゴジラ状態。

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