野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
ベイスターズの2016年は最高だった。
始まりは「またか」、最後は涙。
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byKyodo News
posted2017/01/01 11:30
CSで巨人を下した直後のラミレス監督とベイスターズナイン。ファンが勝利を信じられるようになったのも、彼らの真剣さがあればこそだ。
謎の数字・クリンチナンバーも順調に減り。
CSへのクリンチナンバーという、初体験すぎて減り方もよくわからない謎の数字も気がつけばわずかとなった9月19日。雨の横浜スタジアムは、極度の不振の中でもラミレス監督が「この後彼の力が絶対に必要になる」と起用を続けたロペスが決勝ホームランを放ち、相手や球場の相性を見ながら信頼の言葉を口にし、終盤を任せた山崎康晃が試合を締めくくる。ショート倉本が軽快に最後の打球を処理した瞬間、念願だった、本当に念願だったCS出場権を手に入れた。
桑原は波留、倉本は石井琢、戸柱は……福嶋。
シーズンを振り返れば、ラミレス監督がシーズン前に指名した投打の柱の2人。山口は自己最多でありチーム最多となる11勝を挙げ、筒香はホームランと打点の2冠王を獲得と期待以上の働きをしてくれた。
さらに梶谷石川の離脱・不振でプランが崩れかけたセンターラインがセカンド以外、ガッチリと固まった。センターは開幕当初は控えだった桑原将志が、6月20日から最後まで1番センターを死守。得点圏打率リーグ3位、11本塁打のパンチ力に19盗塁。ダイビングキャッチでいくつもの危機を救った球際の強さとガッツ、明るい性格、小柄で浅黒い姿は“ハマの核弾頭”と呼ばれた波留敏夫に瓜二つ。
ショートは開幕前に「守備だけでしか評価されていないのが悔しいので打ちたいです」と言っていた倉本寿彦が、前年の.208から、一時は3割5分を打つほどの急成長を遂げてほぼ全試合に出場。石井琢朗に憧れ、その背中を追い掛けた背番号5が内野の要になった。
そしてルーキー捕手の戸柱恭孝は1年間、正捕手の座を守り切った。首脳陣から高く評価されるインサイドワークと、堅実なブロッキングは陰のMVPといってもいい。波留、石井琢朗とくれば……と思ったが、その背番号と復刻した横浜大洋ユニの違和感のなさから、晃子パパ・福嶋久晃の再来か。
さらに終盤に5番を務めた宮崎敏郎、代打の二枚看板、下園辰哉にG後藤など、ラミチャンス打線(仮称)は、この1年間でほぼ完成。投手陣では井納、石田、今永の先発三本柱が確立し、須田幸太、田中健二朗、三上朋也、山崎康晃の救援陣は苦しみながらもそれぞれ約60試合に登板して結果を残した。