野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
ベイスターズの2016年は最高だった。
始まりは「またか」、最後は涙。
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byKyodo News
posted2017/01/01 11:30
CSで巨人を下した直後のラミレス監督とベイスターズナイン。ファンが勝利を信じられるようになったのも、彼らの真剣さがあればこそだ。
交流戦を乗り切って、7月は筒香がゴジラ状態。
さぁ、この勢いで苦手の交流戦も……と意気込むも、「5割で乗り切る!」と超現実路線を宣言したラミレス監督の見立て通り、6月1日の埼玉西武戦、無敵を誇った石田がいきなり浅村に満塁ホームラン。今年も地獄のパ・リーグ巡りを予感させたが、カード成績3連勝か3連敗という極端な振れ幅で7勝11敗の9位。
7月。シンゴジラ、筒香嘉智。今季左方向へも本塁打を放つ驚異的な進化を遂げた4番が、この月に打率.429、16本塁打31打点と狂い咲く。オールスターでも2本塁打放ったこの月の月間本塁打は、非公式ながら60本を打った2013年バレンティンの8月の記録に並べる驚異のペース。
圧巻は19~20日の東京ヤクルト戦(神宮)、22日の巨人戦(横浜)で見せた史上初の3試合連続マルチ本塁打。ヤクルト、巨人の繰り出す投手をいとも簡単に打ち砕きこの多摩川防衛戦を制した筒香の活躍で、4位まで10ゲーム差をつけての3位独走モード。
ところが8月。抑えの山崎康晃が大不振に陥り、8月2日の阪神戦から4試合連続でセーブ失敗するなど月間防御率15.12。5番ロペスは13日の広島戦から30打席無安打となり、筒香も大暴れ後の休眠状態。
このピンチに海を越えて駆け付けた途中加入の新外国人。去年の1回5四球5失点で帰国したビロウの二の舞になるまいと、与四球少なく球速いこの助っ人を獲得したが、17日初登板の初球をバレンティンに本塁打。さらに上田に流されてツーランと結局1回5失点。一体誰だ、君の名は。ブロードウェイ。スラングで「ど真ん中」って意味があるということは後に知ることとなる。
誰もが前年の大転落に頭を支配される中……。
最も厳しかったのは4位阪神と3.5ゲーム差で迎えた23日からの3連戦。初戦初回に井納翔一が5失点を喫し大敗すると、久保康友、ぺトリックもやられて、ついに0.5ゲーム差。しかも続くカードは巨人、広島、阪神と苦手の相手。
またか……。誰もが前年の大転落に頭を支配される中、窮地を救ったのは3連敗を喫した阪神戦の最後の試合で、3安打とお目覚めしていたロペス。26日からの巨人3連戦で11打数8安打と打ちまくり3タテの立役者に。鬼門だった甲子園での阪神戦でも山口の好投などで勝ち越し、続く4位に浮上した東京ヤクルトとの直接対決も制して、どうにか3位を死守。