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浦和の2016年は成功か、失敗か。
1つのタイトルと、3つの競った敗戦。
text by
轡田哲朗Tetsuro Kutsuwada
photograph byKiichi Matsumoto
posted2017/01/04 11:30
2ステージ制に最も強硬に反対していた浦和が、その犠牲者になる。サッカーの神様はかくも残酷である。
最後に正解した方が勝ち、というクイズ番組のような。
また、特定の選手のコンディションや成績に依存することもなく、今季のリーグ戦34試合のうち、10試合以上に出場した選手の数は17人を数えた。根底に楽しむというメンタリティーがあるからこそ、リスクを背負う思い切ったプレーも“チャレンジ”として許容され、前向きに進んできた。少なくとも、2016年の浦和は、ミシャによって育て上げられた極めて優秀な長距離ランナーであったことは間違いない。
一方で、その優秀さがあったからこそ、シーズンの行方を分ける“短距離走”のようなゲームでの脆さがクローズアップされてしまう。そうしたゲームでは、積み上げの成果よりも、不格好だろうとつまらなかろうと、勝ったものが強くて名を残すという、異なるメンタリティーを求められる。
今季の鹿島アントラーズはファーストステージで優勝したが、セカンドステージ単体で見れば11位。年間リーグ順位は、浦和から勝ち点15を離された3位。それでも、チャンピオンシップを制したことでJリーグ王者の称号を持っていった。
テレビのバラエティ番組などでありがちな“最後の問題に正解すると1万点”というようなところで、きっちりと正解を持っていた。それが、Jリーグの歴史の中で最もタイトルを多く獲得してきた鹿島と浦和の差として表れたという面は間違いなくある。
ギリギリのところでタイトルを逃し続けてきたミシャの浦和がルヴァン杯を制した時に、大きなブレイクスルーのキッカケになるのではないかと期待された。しかし、現実はそこまで甘くないことを思い知らされる結末だった。
チームを作りかえるか、今のままレベルを上げるか。
この問題の解決策は、大きく分けて2つだ。チームを根底からひっくり返すようなリスクを背負って、短距離的なメンタリティーを強調することや、今いる選手とは全く違うタイプの選手を獲得して、チームの幅を広げること。
あるいは、現在のサッカーをさらに次元の違うレベルにまで引き上げ、並ぶものもなく独走する存在になることだ。