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浦和の2016年は成功か、失敗か。
1つのタイトルと、3つの競った敗戦。
posted2017/01/04 11:30
text by
轡田哲朗Tetsuro Kutsuwada
photograph by
Kiichi Matsumoto
浦和レッズの2016年シーズンは成功だったのか、失敗だったのか――。
チームにとってのシーズンが終わり、少し落ち着いて考えてみれば、非常に難しい問いかけになるのではないだろうか。
国内3大タイトルと呼ばれるリーグ戦、ルヴァン杯、天皇杯のうち、浦和は決勝でガンバ大阪を相手にPK戦にもつれ込んだ末に勝利してルヴァン杯を制した。リーグ戦は34試合を戦った年間勝ち点では1位になった。天皇杯はベスト16で川崎フロンターレにPK戦の末に敗れた。
加えるならば、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)では決勝トーナメントに進出したが、ベスト16でFCソウル(韓国)と激闘の末にPK戦で敗れた。そして、Jリーグチャンピオンシップでは鹿島アントラーズとのホーム&アウェー形式の決勝戦で、アウェーゴール数の差で敗れた。
こうしてみると、出場した4つの大会全てのラストゲームが、非常に際どい勝負だった。世界的に、クラブレベルのトーナメントが次々にホーム&アウェー形式になっている近年で、年間に3回のPK戦を行うチームはそうそうお目に掛かれない。そして、チャンピオンシップもアウェーゴール数の差というルール上の敗戦のようなもので、ピッチ上でのスコアは同点だった。それだけ、差のないところで争った結果が1つのタイトルだったということだ。
浦和に関わる人の心にモヤモヤを残した12月3日。
少なくとも、クラブとしては2007年のACL制覇から9年ぶりとなるタイトルを勝ち取った。そのシーズンを「完全なる失敗だ」と言い切ってしまえば、ルヴァン杯という歴史ある大会とタイトルに対しても、タイトルを目指し続けながら敗れてきた他のクラブにも敬意を欠くだろう。
しかしながら、「成功だった」と言い切れないものがあるのは事実だ。あの12月3日のゲームで、1点リードしたところから前半40分に同点ゴールを許してからの約50分間が、浦和に関わる全ての人の心に大きなモヤモヤを残している。