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FC東京、何も得られなかった1年間。
森重が語った「選手だけでなく……」。 

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西川結城

西川結城Yuki Nishikawa

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posted2016/12/29 08:00

FC東京、何も得られなかった1年間。森重が語った「選手だけでなく……」。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

森重真人自身は今年もベストイレブンに選ばれ、日本代表スタメンにも定着している。しかし、彼がFC東京の現状に満足しているはずがない。

城福氏に攻撃の再建を託したものの……。

 クラブはこの攻撃力不足を、今季の強化ポイントとした。そして課題を克服する存在として、城福氏を立てたのだった。

 城福氏は就任会見で、新たなテーマを掲げた。“Action Football”。相手に受け身になる守備的なサッカーだけに傾倒せず、攻撃も守備も能動的にプレーしていくことを目指すという意が込められていた。

 しかしいざフタを開けると、戦いを進めていく中でFC東京は波に乗れない。4シーズンぶりに戦うACLが重なったことでタフな連戦も強いられたが、それ以上に指揮官が掲げたサッカーがチームに浸透していかない状況が目についた。

 前回チームを指揮していた時ほど、城福氏も攻撃的なスタイルを押し出すことはなかった。彼には、昨季までの守備的なサッカーでチームが一定の成績を残したという事実が、重くのしかかっていたことは間違いない。攻守で能動的に振る舞うことは理想的だが、受動的なスタイルで結果を出してきた選手たちにとって、一度染み付いたプレーを短期間で剥がし取ることは難しかった。

 監督が本来展開したいスタイルを強く押し出せない。それによってチームのパフォーマンスが中途半端な出来に終始し、実際にピッチで戦う選手たちも戸惑い、自信を失っていく――。そんな負のスパイラルに陥ったことが、城福体制が失敗に終わった元凶だった。

コーチから昇格した篠田監督は、シメオネ好き。

 そして7月下旬、城福前監督は解任された。

 急遽の監督交代に迫られたクラブは、後任に2012年からコーチを務め、かつて福岡で監督経験もある篠田善之氏を昇格させた。

 現役時代に多くのアルゼンチン人選手とともにプレーしたことで、プレー強度の高いサッカーを好む篠田監督。時流の言葉で表せば、“インテンシティ”や“デュエル”を重視するスタイルであり、現代サッカーの方向性とも合致する。ちなみに好きな監督は、ディエゴ・シメオネ(アトレティコ・マドリー監督)だという。

【次ページ】 チームは立ち直ったが、結局セカンドステージも9位。

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