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FC東京、何も得られなかった1年間。
森重が語った「選手だけでなく……」。 

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西川結城

西川結城Yuki Nishikawa

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posted2016/12/29 08:00

FC東京、何も得られなかった1年間。森重が語った「選手だけでなく……」。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

森重真人自身は今年もベストイレブンに選ばれ、日本代表スタメンにも定着している。しかし、彼がFC東京の現状に満足しているはずがない。

史上最高順位を記録した監督と、契約を更新せず。

 昨季はクラブ史上最高勝ち点を獲得し、最後までチャンピオンシップ進出を争った。年間順位は4位。もちろんこちらも史上最高位である。

 2014年から2シーズン、チームを率いてきたマッシモ・フィッカデンティ監督(現・鳥栖監督)。数字上は文句のない結果を残したが、彼の人間的な問題をクラブは受け入れず、結局今季の契約を更新しない決断を下した。

 後任として据えたのは、城福浩。かつて2008年から2010年途中までFC東京を率いた経験を持つ指導者を、再度迎え入れることになった。

 前体制の時代では、“Moving Football”という標語の下、人もボールも連動する攻撃的なサッカーを展開していった。2009年にはヤマザキナビスコカップを制し順調な歩みに見えたが、翌年低迷し、9月に解任。チームはその後も上向くことなく、翌シーズンにはJ2降格を余儀なくされた。

武藤嘉紀の離脱で、攻撃面の問題が一気に露呈。

 城福前監督は今季を迎えるにあたって、こんなセリフを残している。

「今はまだ『ただいま』とは言いません。それはタイトルを獲った時まで、取っておきます」

 それは、6年前の出来事を今でも強く意識している証拠だった。相当な覚悟の表れでもあったが、同時に肩に力の入った言動に見えた。

 クラブのフロントも、城福氏を招聘したものの、好成績を残したイタリア人監督をなぜ代えなければならなかったのか、その大義名分が必要だった。

 昨季までの2年間で、FC東京は『守備のチーム』に変貌を遂げていた。イタリア仕込みのディフェンスを植え付けられ、相手チームの分析や対策にもかなり注力していた。4バックのDFラインと3人のボランチで形成される守備ブロックは堅く、2014年、15年ともにリーグ戦の総失点は34試合で33。平均失点を1点以下に抑えていた。

 一方、攻撃面は消化不良な試合が続いた。特に2015年6月に日本代表FW武藤嘉紀がドイツに移籍以降は、前線の威力が低下。個人の力で仕掛ける攻撃が機能しなくなっていったことが、徐々にチームの首を絞めていった。

【次ページ】 城福氏に攻撃の再建を託したものの……。

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