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FC東京、何も得られなかった1年間。
森重が語った「選手だけでなく……」。 

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西川結城

西川結城Yuki Nishikawa

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posted2016/12/29 08:00

FC東京、何も得られなかった1年間。森重が語った「選手だけでなく……」。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

森重真人自身は今年もベストイレブンに選ばれ、日本代表スタメンにも定着している。しかし、彼がFC東京の現状に満足しているはずがない。

チームは立ち直ったが、結局セカンドステージも9位。

 消極的なプレーとなっていたチームを立て直すべく、まずは球際で相手に負けないことやゴールに素早く向かって行くことなど、シンプルなスタイルを取り戻させた篠田監督。そしてチームに落ち着きが出てくると、徐々に選手の特徴を生かしたプレーも取り入れていった。

 しっかりボールを回しながら、連係で相手を崩す。守備でもプレッシングが効かない場面では、一度後方に引いて守備ブロックを作る。これまでコーチの立場からさまざまな指揮官のスタイルを見てきたことで、篠田監督は柔軟な姿勢と采配でチームと向き合い、結果を出していった。城福前監督からバトンを受け継いだ後のリーグ戦の戦績は、12試合で8勝2分2敗。見事に、立て直した。

 10月、11月の終盤戦は4連勝を飾り、J1クラブで唯一の全勝を記録。しかし、結局セカンドステージもファースト同様に9位に終わった。夏までの低迷は最後まで尾を引き、FC東京は静かに今季の幕切れを迎えた。

監督を交代してすぐ結果を求めたフロントの責任は?

 城福前監督の不安定なチームマネジメントは、今季の敗因の1つである。選手たちは徐々に城福氏の言動に疑問を抱き、最後までチームが1つになることはなかった。

 しかし、彼1人に低迷の責任を負わせることにも、違和感を覚える。

 何より昨季から今季に移る過程で、監督交代というドラスティックな変化を伴いながらも、“頂戦”といった高い目標を公言したクラブの姿勢は、今となってはかなり強引だった。

 さらに、前任者のサッカースタイルの良い部分を新たな指揮官が継承し、発展に結びつけることができればもちろん理想的だが、指導者が変わればチームのプレースタイルも変わるのが、サッカーの常。やはり、無理があったのである。

 強引なスタンスで始まった城福体制も、夏場で頓挫。急場しのぎで据えた監督が成績を出したが、それはクラブの眼力が導いた結果ではない。

 結局、城福前監督以前に、FC東京というクラブ自体のビジョンもマネジメントも不安定なままだったのだ。

【次ページ】 来季、選手層はJ随一になる。あとは……。

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