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初の王者戴冠5日後にF1引退発表!
ロズベルグが衝撃の決断に至った経緯。
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2016/12/08 11:15
近年は時に緊張関係が走ることもあったライバル、ハミルトン(右)についに勝利し、引退を決意したロズベルグ(左)。
鈴鹿以降、ニコは堅実な走りに徹していた。
その様子はチームでともに戦っていたスタッフも感じていた。
チーフレースストラテジストのジェームス・ヴァレスはこう述懐する。
「今シーズンのニコは常に攻めていたが、鈴鹿以降は堅実な走りに徹していた」
こうして迎えたタイトル決定戦となった2016年最終戦アブダビGP。日本GP以降、3連勝したハミルトンとのポイント差は12点。ロズベルグは3位(15点)以上でチャンピオンを獲得するという状況で、最後のレースの朝を迎えた。
「日曜日の朝、これが最後のレースになるかもしれないと思ったら、僕の頭はクリアになった。最後かもしれないなら、すべてを楽しもう、と」
しかしアブダビGPは、ロズベルグにとって楽しむどころか、彼のレース人生で最も強烈な55周となった。
タイトル獲得をあきらめないハミルトンは、ポールポジションからレースをリードしていくが、2番手で追走するチームメートのロズベルグが4位以下でフィニッシュしなければ、ポイントで逆転できないため、頭脳戦を仕掛けてきたのである。
それは、レースを極端なスローペースにしてライバルたちをロズベルグの背後まで引き寄せるという作戦だった。
最後の最後でハミルトンが仕掛けた強烈なバトル。
メルセデスAMGの1-2体制が脅威にさらされている事態に、チームから無線でハミルトンに「ペースを上げろ」と指示が飛ぶが、ハミルトンは「やれることはすべてやりたい。僕たちにレースをやらせてほしい」と最後まで拒否。
ファイナルラップは、フェラーリのセバスチャン・ベッテルとレッドブルのマックス・フェルスタッペンまでの上位4台がテール・トゥ・ノーズの戦いを繰り広げる壮絶なバトルの末にチェッカーフラッグが振られ、ロズベルグは2位でフィニッシュ。ハミルトンを5点差で下して、初のチャンピオンに輝いた。