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サニブラウンが行くフロリダ大って?
スポーツの超名門かつ、文武両道。
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byAFLO
posted2016/11/12 07:00
米国進学を選択したサニブラウン。2020年までに桐生祥秀らとともに日本の短距離界を背負って立つ存在となれるか。
文武両立が必須条件で、学業が疎かだと練習参加NG。
米国の大学スポーツはプロ並みの施設や環境を持つところが多いが、「学生の本分は学業」という姿勢は崩さない。学期ごとに部活に割ける時間は決まっているほか、一定の学業成績を収めないと試合はおろか練習参加も認められないなどの全米学生規約が設けられている。
そのため練習や遠征などで授業に遅れたり、課題ができなかったりして単位を落とすことのないように、スポーツ奨学生には勉強に取り組むことのできる環境を各大学が整えている。フロリダ大学はもちろんだが、多くの大学にはスポーツ奨学生のための学習施設があり、そこには学業のアドバイザーやチューターが多数常駐する。授業の組み方、登録の仕方の指導をはじめ、学業優秀な生徒がチューターとして勉強の手伝いを行う。
サニブラウンは日常会話には不自由ないが、専門的な語彙は当然ながら足りない。入学当初は英語でレポートを書くのもかなり苦労すると思うが、英語を母国語としない留学生には特に手厚いケアを約束してくれている。
スポーツ経営学を学びつつ、全米学生選手権優勝を。
サニブラウンは「スポーツ経営学を学びたい」と話すが、フロリダ大学には学術的な分野からマーケティングまで幅広く勉強できるカリキュラムが揃っており、「勉強もとても楽しみです」と意欲を語る。
「全米学生選手権で勝てたらいいなと思います」とサニブラウン。控えめな口調の理由はそのレベルの高さにある。今季の全米学生のランク1位は100m9秒96、10位の選手でも10秒15、サニブラウンの自己ベストは21位に該当する。
200mは1位の選手が19秒95、10位はサニブラウンの自己ベストと同じ20秒34。米国だけではなくヨーロッパやジャマイカなどトップの学生選手が集まる、アマチュア最高峰のリーグなので、簡単に上位に入れるほど甘くはない。本人もそれは重々承知している。