箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
東海大学の「黄金世代」がまた1人。
1年生で全日本区間賞、館沢亨次。
posted2016/11/11 11:00
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
Shunsuke Mizukami
11月6日に行われた全日本大学駅伝は、優勝候補の大本命・青山学院大学が初優勝。10月の出雲駅伝に続いて二冠を達成し、来年の箱根駅伝で史上4校目の「大学駅伝三冠」に挑むことになった。
王者が盤石の走りを見せた一方で、戦前に関係者の間で高い評価を得ていた東海大学が7位に沈み、シード権を逃した。大会直前に複数の主力選手がノロウイルスによる胃腸炎で体調を崩し、起用出来なかったことが影響した形だ。
そんな東海大で1人気を吐いたのが、3区で区間賞を獲得した館沢亨次(1年)だった。全チームを通じて1年生で唯一の区間賞獲得。2区終了時点で12位と出遅れたチーム状況を考えると、記録以上に価値のある区間賞だった。
「タスキを受けたのが予想していた順位ではなかったので焦ってしまいましたが、次を走る人たちのためにもまずは前を追おうと。状況が状況だったので、当初のプランとは違いましたが、自己判断でガンガン行きました。『最後までもたないかも』ではなくて『もたせるんだ』という気持ちで突っ込みました。今回は同級生でエースの関(颯人)が胃腸炎で欠場だったので、自分がやらなきゃという気持ちで走りました」
その言葉通り、館沢はタスキを受けると9.5kmをハイペースで押しきった。1年生ながら4人抜きの快走だった。
東海大1年生の「黄金世代」内にも格差がある。
「自分も含め東海大の今年の1年生は周りの人たちから『黄金世代』と言われていましたけど、関と鬼塚(翔太)の2人が頭ひとつ抜けていた感じがあって、メディアで取り上げられる時もあの2人が主役でした。今回の区間賞でようやく、自分もスーパールーキーズの一員になれた気がします」
館沢本人がこう語るように、東海大には今春、昨年末の全国高校駅伝で活躍した高校生が軒並み進学した。すでに大学でもトップクラスの記録を持ち、世代No.1の実績を持つ関や多くの世界大会の経験もある鬼塚はその筆頭格だ。他校の監督が「選手を獲り過ぎだよ(苦笑)。来年以降の東海は圧倒的な戦力になると思う」とこぼすように、東海大の1年生たちが持つ潜在能力の高さは群を抜く。