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サニブラウンが行くフロリダ大って?
スポーツの超名門かつ、文武両道。
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byAFLO
posted2016/11/12 07:00
米国進学を選択したサニブラウン。2020年までに桐生祥秀らとともに日本の短距離界を背負って立つ存在となれるか。
大学のコーチも「米国に興味があると聞いて驚いた」。
「高校1年生くらいから米国に留学したいと思っていました」
漠然とした憧れだった夢は、世界ユースと北京世界陸上での活躍で一気に現実的になった。世界での活躍が認められ、米国の大学が獲得に名乗りを挙げてくれたのだ。
フロリダ大学陸上部のマイク・ホロウェイコーチは「日本の高校生は日本の大学に進学することが多かったので、米国に興味があると聞いてとても驚いた」と率直な意見を口にする。
米国の大学に進学する際、多くの大学がSATと呼ばれる大学進学適性試験と、英語を母国語としない留学生にはTOEFLという英語試験の受験を義務付けている。SATは英語と数学の2つに分かれており、問題も解答ももちろん英語。スポーツ奨学生も例外ではなく、各大学の定める点数の獲得が求められる。
そのためサニブラウンは昨年12月頃からテスト対策の塾に通っていた。部活で疲れて休むこともあったが「アメリカの大学に行きたい」、その一心で、春休みには4~5時間ほどのクラスを取るなど猛勉強を重ねた。
6月に怪我も「潜在能力は一番」と高評価は変わらず。
6月に1回目、そして10月上旬に2回目の試験を受験。10月中旬に大学の公式訪問し、同月下旬に出た試験結果で、希望する大学の定める点数を上回ったこともあり、今回晴れて進学決定の発表に至った。
今季はリオ五輪と世界ジュニア選手権を目標にしてきたが、6月の日本選手権直前に左大腿部を怪我し、試合への出場は絶望的に。怪我の報せを受けて連絡を絶った大学もいくつかあったが、「潜在能力の高さは一番だから」と評価を変えず、学費、寮費、日本への往復航空券などを含めた全額の奨学金サポートを提示してくれた学校も多数あった。
「怪我をして辛かった時期に声をかけてくれた大学があってうれしかったです」とサニブラウンは感謝する。