ブンデスリーガ蹴球白書BACK NUMBER
「20分くらいなら行ける。ただ……」
内田篤人、復帰目前の今を楽しんで。
posted2016/11/14 07:00

チームが勝利するため、最善を尽くす。鹿島でも、日本代表でも貫いたシンプルな信念を内に秘め、内田はシャルケで戦線復帰の時が近づいている。
text by

ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
AFLO
「きつかったなぁ。心臓には右心房とか左心房とかあるでしょ? あれが、ひっくり返っているんじゃないかな、と思ったから……」
心臓の左右の心房がひっくり返る、なんてことはもちろんありえない。
怪我で戦列を離れてから、はじめて、シャルケの練習のなかで行なわれる紅白戦に加わった。先々週のことだ。
「あぁ、久しぶりだな、これは! と思ったね」
息も上がった。胸も苦しかった。
だが、内田篤人はその瞬間を笑顔で振り返る。
「いくら走りの練習をしても、マシーンの上を走っても、紅白戦はゲーム形式のものだから別。やっぱり、“ゲーム体力”というのがあるんだよ!」
内田は不安を覚えたのではない。むしろ、その逆である。
「そうやって1回、ガーンとなれば、そこからはもう、ある程度は大丈夫。体感では、練習で(の動きは)どんどん軽くなっているよ」
「プレースタイル的に、途中から入る選手じゃない」
一部のメディアでは憶測に基づいて、キャリアの終焉をにおわせるような記事が出たものの、10月4日に行なわれたMRI検査で明らかな回復が認められた。結果いかんでは、再手術を医師から薦められる可能性すらあったのだが……。そこから確実に前へ進んできた内田は、復帰への速度を上げているかのようにも見える。
「あとはいつ、『どうする? 行けるか?』と声がかかるかだよね。かかるとしたなら、(練習後の)グラウンドで、なのかな……。まぁ、それはわからないけど。
オレはプレースタイル的にも、途中から入る選手じゃない。だから、ベンチにいたってしょうがないなら、それならベンチ外の方がいい」