ブンデスリーガ蹴球白書BACK NUMBER
「20分くらいなら行ける。ただ……」
内田篤人、復帰目前の今を楽しんで。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2016/11/14 07:00
チームが勝利するため、最善を尽くす。鹿島でも、日本代表でも貫いたシンプルな信念を内に秘め、内田はシャルケで戦線復帰の時が近づいている。
ノイアー、ラウールらがいた時よりも「強い」。
もっとも、内田が前向きで、再び大観衆の前でサッカーをできる日が来るのを楽しみにしている様子を隠さないのは、怪我からの回復が良好だから、というだけではない。
「今シーズン、リハビリ施設を出て、グラウンドに来て紅白戦を見たけど、思ったのは『レベルが高いな』ってこと! ボールを止める、蹴るという能力が高いのは当然だし、特に中盤のレベルが上がったなぁ……」
嬉々としてそう話していた内田は、現在のチームメイトと共にプレーするのが楽しみなのかを問われると、こう返した。
「オレはもう、シャルケにきて7年になるけど、一番強い。あぁ、でも、1年目もかなり良い選手がいた。ノイアー、ラウール。ラキティッチもいたし。
ただ、この4、5年で一番の戦力じゃないかな。だから、(ブンデスリーガの序盤戦で)負けていても、時間があれば大丈夫だという気がする。やっぱり、サッカーで大事なのは縦のラインだね、サッカーは。ボランチ、フォワード、センターバック……」
「サイドバックは……『おまけ』みたいなもん(笑)」
そして、こうはぐらかした。
「サイドバックは……『おまけ』みたいなもんだ(笑)」
もっとも、おまけが欲しくてお菓子を買う人がいるように、おまけだと自嘲する選手のプレーに注目してスタジアムに足を運ぶ地元のファンもいる。
彼の復帰が日本だけではなく、現地でも注目を集めているのはなぜか。ドイツで屈指の人気を誇るシャルケというクラブで、7年にわたって競争を勝ち抜いてきた選手なのだから。
シャルケのトップチームでの在籍年数は、キャプテンのヘベデスについで2番目に長い。だからこそ、現地のファンからもメディアからもリスペクトを受けている。