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「20分くらいなら行ける。ただ……」
内田篤人、復帰目前の今を楽しんで。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2016/11/14 07:00
チームが勝利するため、最善を尽くす。鹿島でも、日本代表でも貫いたシンプルな信念を内に秘め、内田はシャルケで戦線復帰の時が近づいている。
シャルケファンにとって、語り草のアシスト。
シャルケのファンや番記者の間で、内田が見せたパフォーマンスで語り草になっているのは、2014年10月31日に行なわれたアウクスブルクとのホームゲームに他ならない。自陣でボールを奪った内田が、70m近い距離をドリブルで持ち運び、フンテラールの決勝ゴールをアシストした試合である。
ゴールが決まった後、フンテラールと抱擁をかわしながら、熱狂的なシャルケサポーターに対して滅多にアピールをしない内田は、ホームのサポーターにむけて右の拳を突き上げている。“シャルケのために生きる”というサインだった。この一戦は、シャルケとの契約を2017-'18シーズン終了時まで延長した直後の試合だった。彼が珍しくサポーターに自らの存在をアピールしたのには、そんな理由があった。
「戦力として入ったら、たぶん、監督に怒られる」
ところで、現在のシャルケの指揮官について、内田はこんな風に語っている。
「オレには、今のところ優しいよ。でも、試合中の様子などを見たら、けっこう怒っているよね。切り替えとかちゃんとやらないといけないんだな、サボったら怒られるんだな、と感じるかな。今までのシャルケの監督はけっこう優しかったしね。
今のところオレに優しいのは、まだ戦力に入っていないからでしょ。戦力として(監督の構想に)入ってきたら、たぶん、すごい怒られる。でも、怒られたくないなぁ……」
もっとも、そんな心配も杞憂に終わるかもしれない。
内田がシャルケサポーターに拳を突き上げた時、アウクスブルクの監督は苦虫をかみつぶしたような顔をしていた。
彼こそが、今季からシャルケの指揮をとるマルクス・バインツィアル、その人である。