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「守ってカウンター」がしたいなら。
日本代表に2つの“型”が足りない! 

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田邊雅之

田邊雅之Masayuki Tanabe

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2016/11/01 10:30

「守ってカウンター」がしたいなら。日本代表に2つの“型”が足りない!<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

日本代表の中盤には、運動量のある選手が揃っている。足りないのは「型」なのだ。

カウンターの3つの分類。

 ではまず、どうやってカウンターで点を奪うか。敵ゴールまでの距離と、攻撃に加わる選手の数によって、基本的なパターンはいくつかに分類できる。

 まずゴール前に深く引いて、ロングレンジのカウンターを狙うケース。ラインを押し上げてきた敵DFの裏を狙ってパスを出し、スピードで相手を振り切れるフォワードを走らせる古典的な方法がある。カウンターに絡む人数が少なく、個人のスピードと決定力に依存するという意味で、「ソロカウンター」とも表現できるようなカウンターだ。

 同じく古典的な方法としては、高さと強さを併せ持つポスト役にボールを集め、局面の打開を図るアプローチもある。これもまた「個」の能力に依存する戦術だが、残念ながら日本代表は、いずれのタイプのフォワードに関しても、人材難に悩まされてきた。

 一方、これらの方法論と一線を画すのが、「コレクティブ・カウンター」という戦術になる。ボールを奪った直後に、3、4名の選手が脱兎のごとくピッチを疾走。足の長いパスを交換しながら、ゴールに迫っていくイメージだ。
 興味のある方は、Number718号に載せた「『コレクティブ・カウンター』の衝撃」をご覧いただきたい。ともあれ、ユーロ2008以降、この新たなカウンターの「型」が世界中のサッカー関係者の間で有効性が認識されるようになっていたのだ。

個に頼らずにカウンターを完成させる方法。

 スピードスターとポストプレイヤーの人材難を考えれば、「コレクティブ・カウンター」は、日本代表の有力なオプションとして浮かび上がってくる。

 とはいえ、このカウンターを武器として使いこなしていくには、攻守両面でいくつかの条件を満たさなければならない。

 まずロングレンジから「コレクティブ・カウンター」を狙うとなれば、スピードと決定力を維持したまま、トップスピードで長い距離を走り抜ける「ロング・スプリント」を持った選手が多く必要になる。また、引いて守っていても絶対にゴールを割らせない守備の硬さも条件になる。

 いずれの条件もクリアーするのは至難の業だが、抜け道がないわけではない。ロングレンジからの「コレクティブ・カウンター」ではなく、高い位置からプレッシングをかけて、ショートカウンターを狙えばいいのである。

 この方式ならば、スピードスターやポストプレイヤーがいなくとも、運動量と組織力でチャンスを作り出すことができる。さらに、ショートスプリントや持久力に優れた、日本人選手の身体特性も活かせることになる。

 ゴール前に引いて守るスタイルよりも、結果的に失点のリスクや相手のボール支配率を減らしていくことにもつながるだろう。プレッシングとショートカウンターを組み合わせた戦術は、日本代表のようなチームにこそ、おあつらえ向きの戦術ではないかと思えてくる。

【次ページ】 プレッシングが日本ではなぜか重視されなかった。

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