サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
原口元気「デブライネだったら……」
比較対象はいつだって“上”の相手。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byTakuya Sugiyama
posted2016/10/13 07:00
タイ戦、イラク戦、オーストラリア戦と3試合連続でAFCのマンオブザマッチに選出されている原口元気。
わざと倒れた相手FWにも、「あれは僕のミスです」。
もっとも、後半6分には失点にも絡んでしまった。
相手の右サイドからクロスが入ると、慌ててペナルティエリアまで戻ってきた原口がユリッチに身体をぶつけた。そこでユリッチが倒れたことで、主審はファールと、PKを宣告した。
「相手に前に入られて、危ないと思いながら下がっていたので、強く当たってはいないんです。あんなに身体の強い選手があれくらいで倒れるわけはないので、完全に(ファールを)もらいに行っていた。ただ、そこが上手さだろうし、あれは僕のミスです」
もちろん、ミスについては反省する。ただ、それだけでは終わらない。あのシーンを自分にあてはめて考えてみる。自分がボールを持って、相手陣内のペナルティエリアに入ったときにはどうなるか――。
つっかけてファールをもらうのは「僕の役割」。
「自分にも、ああいうずるがしこさも大事になってくると思います」
わざと倒れるシミュレーションは、もちろん論外だ。ただ、ハリルホジッチ監督がチームにつけてきた注文のなかに、相手ゴールに近い位置でファールを誘うプレーが少ないというものがある。
長谷部が「この最終予選4失点はすべてPKやFKなど、セットプレーからのもの」と語ったように、ゴールに近い位置でファールをもらうことは得点に直結する。
そして原口自身も、ボールを持って相手陣内に入っていく必要性を以前から説いていた。例えば、UAE戦の翌日にはこう話していた。
「ゴール前につっかけていったときにファールをもらえる可能性もあるし、自分も他の選手と違うものは出せるかな。上手い選手ばかりではなくて、強引にいける選手も(監督からすれば)欲しい部分だと思うので。僕がそういう役割をできたら、武器になると思います」
確かに、今回は小さくない「代償」を払った。ただ、予選はまだ終わっていない。むしろ、今回のミスを今度は自分たちが勝つために参考にしていければ、「代償」は「教訓」に変わる。