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鈴鹿を制する者は、世界を制する――。
ロズベルグ、日本GP初勝利の意味とは?
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byHiroshi Kaneko
posted2016/10/11 11:45
表彰台でファンに向かって派手にアピールするロズベルグ。「この伝説のレースコース(鈴鹿)での優勝は最高だね!」とコメントした。
レース後、特別扱いでGPを去ったハミルトン。
そんな中で開始された決勝レース。ハミルトンはスタートで大きく出遅れ、早々に優勝争いから脱落。8番手から懸命に追い上げて3位でフィニッシュしたものの、優勝したロズベルグとの差は、23点から33点に広がってしまった。
レース後、メルセデスAMGを統率するトト・ウォルフは「ルイスはプレッシャーが強くなればなるほど、本領を発揮するので心配はしていない」と語ったものの、同時にレース後に予定していたチームが設定した会見を取りやめ、ニキ・ラウダとともにサーキットを後にさせるなど、いつもとは異なる対応を行っていたことも確かだった。
対照的に表彰式を終えたロズベルグは出席が義務付けられているFIAの公式会見場に現れるや、拳を上げて仁王立ちになって待ち構えていたカメラマンたちのフラッシュを気持ちよく浴びていた。ロズベルグの優勝は今シーズン9度目だが、慎重な性格のロズベルグがここまで喜びを表に出すのは珍しい。そして、チームメートであり、最大のライバルであるハミルトンについて、こう語った。
「鈴鹿であなたたちとルイスとの間に何が起こったのか正直知らないんだ。報道を見ていないからね。この週末、僕が最も気にしていたことは、自分がベストのパフォーマンスを発揮するにはどうすればいいかということだけ。ルイスの精神状態がどうなっているかなんて気にしている余裕はないんだ」
ドライバーの腕が試される鈴鹿はスキルだけでなく、精神力も問われる世界屈指の名コース。
その鈴鹿でタイトル争いを演じるメルセデスAMGの2人は、あまりにも対照的だった。
開幕前の盛り上がりから一転、どん底に陥ったホンダ。
高揚感から一転、大きく落胆する結果に終わり、グランプリが開幕する前と後で対照的な日本GPとなったのがホンダだった。
復帰後、2度目の母国グランプリを迎えたホンダが、鈴鹿で目標に掲げたのは、現在のトップ3チームであるメルセデスAMG、レッドブル、フェラーリに次ぐポジションでレースを戦うことだった。ところが、そのポジションを争うはずだったフォース・インディアやウイリアムズとバトルすることができなかったばかりか、ハースやトロ・ロッソにも先を越されてしまった。
後方集団に埋没してしまったホンダはアロンソが16位、バトンは18位に終わる。
これは大きな期待を裏切った昨年よりも、さらに下回る結果だった。