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鈴鹿を制する者は、世界を制する――。
ロズベルグ、日本GP初勝利の意味とは?
posted2016/10/11 11:45
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Hiroshi Kaneko
鈴鹿を制する者は、世界を制する――シーズン終盤戦に開催されてきた日本GPでは、明暗を分けた名勝負がこれまで何度も繰り広げられてきた。その戦いを今年、鈴鹿で演じたのが、3年連続でタイトル争いを展開しているメルセデスAMGの2人、ロズベルグとハミルトン。
過去2年間、ポールポジションを取りながら、勝ち切れなかったロズベルグ。
対照的に予選2番手からいずれもチームメートを逆転して、鈴鹿からチャンピオンロードを一気に駆け登っていったハミルトン。
2人は、この一戦が持つ意味を誰よりも理解していた。
その緊張感の中で、ちょっとしたいたずら心が思いがけないトラブルへと発展する。木曜日の会見に出席したハミルトンが会見中スマホをいじり続け、メディアからひんしゅくを買ってしまったのである。
本人は前戦マレーシアGPでエンジンブロウして窮地に追い込まれても、なお前向きでいることを誇示したかったようだが、それを理解する者は決して多くはなく、ハミルトンの地元イギリスの新聞はこぞって痛烈に批判。
逆に自ら自身を追い込む結果となった。
予選直後、ハミルトンが勝手に会見を打ち切ってしまう。
メディアとの対立は、グランプリが始まってからも続いた。
土曜日の予選でポールポジションを逃したハミルトンは、予定されていたチームの会見で批判を続けたメディアからの質問を受け付けず、こう言って会見を打ち切ったのである。
「ここにいるほとんどの人たちは、僕のことを理解してくれていると信じているが、残念なことに僕の揚げ足を取ることが目的の人たちも同時にいる。先日の僕の何気ない行動は、ちょっとした冗談のつもりだった。それなのに、その後の報道の中には、失礼なものがあった。だから、僕はもうこういう人たちのために時間を費やすことはやめることにした」