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権田修一がSVホルンで放つ存在感。
「結局、僕はこういう性格なんです」 

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西川結城

西川結城Yuki Nishikawa

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posted2016/09/09 16:30

権田修一がSVホルンで放つ存在感。「結局、僕はこういう性格なんです」<Number Web> photograph by AFLO

W杯最終予選に向けた日本代表の予備登録に、権田修一はしっかりと名前を連ねている。虎視眈々、という言葉がよく似合う。

権田が日本人選手たちにも向ける厳しい視線。

 現地の人間と日本人の融合。それはホルンが、ピッチ内外で抱える課題である。

 オーストリア人に、日本人の感覚を理解させる。ただ、そんな一方通行な視点だけではなかった。権田は、同じ日本人選手たちにも強い要求を見せる。

「ここはオーストリアの下部リーグ。こっちに来ている日本人選手は、覚悟を持って来ているはず。でもここはちょっと変わっていて、日本人がたくさんいるからあまりヨーロッパという感覚がしない時もある。はっきり言って、ここにいる日本人選手の中には、環境に甘えている選手もいる。

 ドイツ語を勉強して自立して頑張ろうとしている人もいる一方で、全然コミュニケーションを取れない、また成長しない選手もいる。何となく、日本人たちもいるから安心してサッカーができるという気持ち。そこはもっと考えないといけない。

GKコーチのライセンスを取るために、ドイツ語勉強中。

 少なくとも、ここからどこかへ移籍した先でも生き残っていけるぐらいのコミュニケーション力を持たないと。例えば、僕はこっちでGKのコーチライセンスを取るために、ドイツ語を勉強している。こっちにいる間に、そういう取り組みの大事さを理解できるかどうか。正直、難しいところはあると思います。でも一人ひとりが気づけるか。覚悟を持って、絶対さらに上のレベルに行くんだと思ってプレーするか。それができる人は、先の世界も開いていけると思う。

 だからみんなには、『強いクラブに移籍したら、試合のチケットを取ってね』と今から頼んでいるんです(笑)」

 最後は柔らかい表現で笑いを誘ったが、厳しくも期待を込めた権田の視線が、仲間の隅々まで注がれている。

 そして、チームを支える役割は、ピッチ外からピッチ内へ。

 8月19日に行われた第6節の試合で、権田は約5カ月ぶりに復帰を果たした。結果は0-1で敗北し、翌第7節も2-2で引き分けるなど、勝利に貢献することはできていない。

【次ページ】 ポポヴィッチや、フィッカデンティの教えが生きている。

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