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正守護神ハート放出の一方で……。
ペップ・マンCで輝く“英国産”は誰? 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2016/08/27 07:00

正守護神ハート放出の一方で……。ペップ・マンCで輝く“英国産”は誰?<Number Web> photograph by AFLO

ストーンズとコミュニケーションを取るグアルディオラ監督。ポゼッションを最重要視する指揮官にとって、後方のキーマンとなるのは間違いない。

ハート放出も「グアルディオラ効果」を信じるファン。

 ブラボ獲得と前後して組分けが決まったCLグループステージでは、そのブラボの古巣であるバルセロナと対戦が決まった。しかし一昨季の16強対決で、第1レグではリオネル・メッシのPKを止め、第2レグでは10セーブで僅差の敗退にとどめたハートはもうマンCのゴールにはいない。

 4年前に実現した44年ぶりのリーグ優勝から、昨季に達成された初のCL4強入りまで、イングランドの強豪としてのマンCを最後尾で支えた「仲間」がいきなり不要扱いとなれば、通常はファンが新監督に不満を覚えているところだ。だが、ステアウア戦で「英雄」、「永遠」といった言葉が見られるメッセージを掲げ、ハートの名を謳ったエティハドの観衆に指揮官への当て擦りという意図は感じられなかった。

 これも「グアルディオラ効果」なのだろう。守護神交代は、判断を急いたのではなく勇気ある決断と理解されているようだ。国内では、守備の要バンサン・コンパニ、中盤の核ヤヤ・トゥーレ、攻撃の中枢ダビド・シルバと、主軸の世代交代が必要なチーム事情にもかかわらず、開幕2連勝を飾る前から「グアルディオラのマンC」が今季優勝候補の筆頭と目されてもいた。

「勝つために手段を選ぶ」指揮官が求めるGK像。

 そしてグアルディオラは、「勝つために手段を選ぶ」指揮官としての期待通りに仕事に取組んでいる。その戦い方にハートは不向きと思わせる要素はプレミアでの計180分間だけでも確認できた。開幕節サンダーランド戦(21)から、マンCの両SBはまるでセンターハーフのようなポジションを取っていた。

 ガエル・クリシとバカリ・サニャが、ボランチのフェルナンジーニョに加わって中盤での数的優位を可能にし、ボール支配に尽力していた。当然、相手がカウンターに転じ、後方にはCB2名しかいない危険性がある。カバジェロは、素早くペナルティエリア外まで飛び出してサンダーランドのチャンスを未然に防いだ。ゴールマウスでのシュートへの反応が最大の持ち味であるハートが繰り返す姿は想像し難いプレーだ。

【次ページ】 カバジェロが起用されたのは足下の技術があるから。

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