甲子園の風BACK NUMBER
夏の甲子園、全代表校を観戦。
ブラバン応援の“ベスト9”を発表!
text by
梅津有希子Yukiko Umetsu
photograph bySports Graphic Number
posted2016/08/24 07:00
ロッテの応援曲を多用することでも知られる東邦高校吹奏楽部。そのレベルの高さは、極上の野球応援コンサートだ。
なぜ市立尼崎は沖縄代表校の応援を毎年しているのか?
3位 常総学院(茨城)
甲子園の時期は、吹奏楽コンクールと日程が重なることも多く、同校吹奏楽部は、基本的にコンクールに出場するメンバー以外の部員が応援に駆けつける。 「二軍の演奏か」などという心ない声をよく耳にするが、こういう声を聞くたびに、吹奏楽部出身の身としては、「何を言っているのだ」という思いしかない。そもそも、吹奏楽の強豪校はコンクールメンバー以外の部員も演奏レベルがとても高く、常総学院の応援はとてつもなくハイクオリティ。キレのあるチアガールや、勇ましい応援団との一体感も素晴らしく、日本トップクラスの応援といって異論はないはずだ。
2位 市立尼崎(兵庫)
1981年から毎年沖縄代表校の応援を引き受けている、同校吹奏楽部顧問の羽地靖隆氏。羽地氏が沖縄出身というご縁で、経費がかかりすぎることから吹奏楽部が来られない沖縄代表の応援を、市内の中学校勤務時代から現在まで、休むことなく続けている。
今年は、33年ぶりに同校野球部も兵庫県代表として甲子園に出場。加えて、開会式と閉会式の演奏も担当するなど、吹奏楽部は大忙しの夏となった。
特筆すべきは、なんといっても、「アゲアゲホイホイ」コールで大いに盛り上がった『サンバ・デ・ジャネイロ』だろう。兵庫県内の応援で大流行しているコールだが、現在他県にもじわじわと進出中。一般客をも巻き込む勢いとノリのよさ、「一緒にやってみたい」と思わせる、とてつもない魔力がある。
1位 東邦(愛知)
今夏の1位は、日本屈指の古豪吹奏楽部である東邦を挙げたい。
90年近い歴史を誇る同部は、マーチングの強豪でもあり、応援にもマーチングの動きを取り入れるなど、躍動感あふれる演奏が特徴。試合が始まると、湘南乃風の『SHOW TIME』をアレンジした応援『戦闘開始』で、『We are 東邦!』コールを繰り返し、グラウンドで戦う選手たちを鼓舞。千葉ロッテマリーンズの応援曲を多用することでも知られるが、高い演奏レベルやパフォーマンスなど、どれを取っても一級品で、ショーとしてのクオリティが非常に高いのだ。
2回戦の八戸学院光星戦では、9回裏で4点差を返した奇跡の大逆転劇が話題となったが、後押ししたのは、紛れもなく応援の力だった。9回裏の攻撃が始まる前から、東邦の演奏に合わせて、球場全体から自然発生的に手拍子が巻き起こったのだ。