詳説日本野球研究BACK NUMBER
甲子園で見つけた捕手、野手たち。
柳田・大谷の影響で打撃に変化が?
posted2016/08/19 07:00
text by
小関順二Junji Koseki
photograph by
NIKKAN SPORTS
スカウトやフロントの人に話を聞くと必ずと言っていいくらい、「今大会は投手に好素材が多いが野手は少ない」と言う。本当だろうか。ストップウォッチの数値などを紹介しながら、野手の実力を再検証してみたい。
キャッチャーは、イニング間の二塁送球タイムの速い選手に注目した。強肩の目安となる「2秒未満」を計測したのは今大会で20人いて、その中でもスローイングの形やバッティングがいいのは次の6人(攻守交代の間、投手は3球くらいピッチング練習をする。その最後のボールを受け取ったキャッチャーは、実戦を想定して二塁ベース上に待機する内野手に送球するが、このときのタイムを『捕手の二塁送球タイム』と言っている)。
清水風馬(常総学院3年) 1.92秒
渡辺雄太(いなべ総合3年) 1.97秒
岡沢智基(智弁学園3年) 1.87秒
古賀優大(明徳義塾3年) 1.90秒
九鬼隆平(秀岳館3年) 1.85秒
萩原哲(日南学園3年) 1.90秒
「日本人には真似ができない」と言われたプレーも。
プロでも「2秒を切れば強肩」と言われるが、最近は高校生がそのハードルを超えることも多くなった。渡辺の「1.97秒」というタイムは座ったまま投げて記録したものだが、私が若かりし頃、親善試合で来日したメジャーのキャッチャーが座ったまま二塁に投げて「日本人には真似ができないプレー」と言われた。それを高校生がやっているのだから隔世の感がある。
この中で、ドラフト候補と胸を張って言えるのが古賀と九鬼だ。古賀は3回戦まで8打数5安打と打撃も好調で、内角球を苦にしない懐の深さでも目立った存在。九鬼は肩の強さが際立ち、内角に構えることが多い攻撃的リードでも他の選手と一線を画す。ともに日本代表の有力候補で、ドラフトでは3位前後の指名が予想される。