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インハイは「就活ラストチャンス」。
4人の3年生が見せたJ内定への執念。
posted2016/08/17 08:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
かつて、選手権は『就職活動の場』とされていたが、今その様相が濃いのはインターハイになっている。特に高2のインターハイは重要で、ここでのアピールは、今後の練習参加のオファーの数を決め、より多くの可能性を見出すことにつながる。
それはなぜか。
近年、Jリーグだけでなく、大学サッカーにおいても、一般企業の就職活動と同じで、早めに『内定』を出したがる。高2の夏に目をつけられれば、Jクラブならばインターハイ終了後や選手権予選前のまだ各クラブの優勝争い、残留争いが熾烈では無い時期に練習参加が出来るし、大学側も早めにリストアップをして、例えばインターハイでベスト8以上に入れば、推薦枠も含めて、早めに獲得に動き出せるメリットがある。
もちろん、高2の選手権でもチャンスは十分に有るが、それもインターハイで目をつけられるメリットが影響してくる。
高3の選手権まで進路を先送りするのはリスキー。
ゆえに高3の冬まで待ってしまうと、すでに各クラブ、大学ともに来季の陣容が決まってしまい、そこから割って入ることはレアケースになってしまう。では高3のインターハイはどうか。この大会こそ『ラストチャンス』と言って良い。早いJクラブはインターハイ前に内定を出すし、インターハイ後の内定もある程度事前に練習参加などをして、クラブ側の選考や、競合した場合は選手側の選択によって決まるケースが大半だ。
大学サッカーも5月、6月に回答期限を設定するところも有り、インターハイでJクラブの評価を上げて、Jクラブがオファーを出しても、すでに大学進学が内定しているケースが最近増えてきている。故に高3の選手権まで結論を先送りするのは、リスキーな部分が圧倒的に多い。
そして、その『ラストチャンス』に懸ける4人の選手がいた。市立船橋のMF高宇洋と瀬戸内のFW安部裕葵、昌平のMF松本泰志と針谷岳晃だ。この4人の覚悟が、将来への歯車を大きく動かすこととなった。