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CLに出る4人目の日本人になれるか。
瀬戸貴幸がルーマニアから狙う物。
text by
朴鐘泰Park Jong Tae
photograph byShigeki Yamamoto
posted2016/07/23 11:00
愛知県名古屋市出身、熱田高校を卒業後はブラジル留学、日本の地域リーグからルーマニアへ移り、いまやトップフットボーラーの1人だ。
ポルトガル語、ルーマニア語、英語に加えてトルコ語も。
――環境が変わって、言葉もルーマニア語からトルコ語に変わった。
「オスマンには通訳が3人いたんです。ポルトガル語、フランス語、そして英語。僕は英語よりポルトガル語のほうがまだ話せるんで、そっちの通訳のお世話になって」
――選手間のコミュニケーションは?
「ルーマニア人選手2人と、ルーマニアでやってたポーランド人選手がいて、彼らとはルーマニア語でしゃべってて。他の国の選手とはポルトガル語なり英語なりで何とかなったんですけど、ただ、トルコ人選手とはなかなか難しかったですね」
――たしか監督もトルコ人。トルコ人って、話せるのは基本トルコ語だけ?
「はい。サッカーに限らず、トルコ全体で見ても、英語はほとんどしゃべれないですね。半年いて、ようやく軽い挨拶レベルでトルコ語使えるようになりましたが」
監督の指示を、通訳を3人通して聞く体験。
――トルコでの7試合中、5試合がベンチスタート。途中出場となれば、監督から何かしら指示があったはず。ちゃんと理解できていた?
「実は、2試合目のガラタサライ戦(2015年8月24日)でコミュニケーションミスがあって。残り15分くらいで投入されたんですけど、『セットプレー時は相手の8番(トルコ代表MFセルチュク・イナン)をマークしろ』という指示だったんです。その時は、監督からキーパーコーチに伝わって、キーパーコーチが通訳に言って、通訳から僕に指示が出たんです」
――すごい伝言ゲーム。
「このキーパーコーチが、監督の指示を間違って理解してたみたいで。監督はセットプレーじゃなくて、『ゲーム全体で8番をマーク』と言ったらしくて。実際、ゲームの流れの中で8番が起点となって失点しそうになった場面があったんです。幸い試合は勝ちましたけど(2-1)、試合後に監督がすごい勢いで怒ってて。具体的に何を話しているかわからなかったけど、『セト』と言ってるのはわかるから、ああ、僕がやらかしたんだな、と。その後、キーパーコーチが僕のところに来て、『すまん、俺の指示が間違っていた』って謝りに来ました」
――勝手なイメージかもしれませんが、外国人は潔く自分のミスを認めない印象が。ある意味、そのキーパーコーチは紳士なのかな、と。
「まあ、謝ってくれるのはいいんですけど……」
――誤った指示で“損”をするのは選手ですからね。
「ああいう途中出場で結果を出せなかったのが、後々の試合につながっていったと思います。だから僕、カップ戦要員でしたからね。トルコで90分フルに出たのは、カップ戦の2試合だけでした」