欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
CLに出る4人目の日本人になれるか。
瀬戸貴幸がルーマニアから狙う物。
posted2016/07/23 11:00
text by
朴鐘泰Park Jong Tae
photograph by
Shigeki Yamamoto
現時点で、3人いる。
レスターの岡崎慎司、ドルトムントの香川真司、セビージャの清武弘嗣。今季のチャンピオンズリーグ本戦に出場するチームに所属している日本人選手の数だ。
「どうしても、CLのアンセムをピッチの上で聞きたいんです」と、チャンピオンズリーグ本戦の晴れ舞台を切望する、ひとりの日本人選手がいる。
ルーマニアのアストラ・ジュルジュ所属の瀬戸貴幸。昨季はルーマニアで開幕を迎えた後、8月にトルコのオスマンリスポルへ移籍。しかしトルコでは出場機会に恵まれず、冬の移籍市場でアストラに復帰。そしてアストラは1921年のチーム創設以来、初のリーグ優勝を遂げた。
優勝によってアストラは今季のチャンピオンズリーグ予選3回戦からの出場権を得た。7月27日にデンマーク王者のコペンハーゲンと第1戦を戦う(第2戦は8月2日または3日の予定)。コペンハーゲンを破り、プレーオフ(ホーム&アウェーの2試合)も勝ち進めば、念願のチャンピオンズリーグ本戦である。
今季始動前、束の間のオフに帰国した際に話を聞いた。
「話題は全部レスターに持っていかれました(笑)」
――ノンプロながら渡欧して9年目の昨シーズン、念願のリーグ制覇。
「優勝プレーオフ最終節のひとつ前だったんですけど、僕らの試合前日にステアウアが引き分けて(5月1日)、優勝が決まって。宿舎のホテルでチームのみんなとテレビで見て、終わったあとに外でシャンパンファイトしました」
――ライバルチームが引き分けて優勝が決まったのは、岡崎慎司所属のレスターと同じ。
「でも、話題は全部レスターに持っていかれましたけどね(笑)」
――5月2日のディナモ・ブカレスト戦では、ルーマニアリーグの外国人最多出場記録を更新(この試合で通算203試合)。
「4-2で勝ててよかったものの、ほとんどの選手がアルコールが抜けてないままだったんですよ。朝までどんちゃん騒ぎしてて。僕は飲めないんで、2時くらいには寝ましたけど」
――昨シーズンはアストラで開幕(2015年7月)を迎えて、8月に「もっとレベルアップするために」と、トルコのオスマンリスポルに移籍。トルコリーグの印象は?
「やっぱり選手個々のレベルが高かったですね。練習にしても、ここなら成長できるという手応えがあったし、試合に出て活躍できるイメージを持って行きましたけど……」
――残念ながら、トルコでは7試合の出場にとどまった。
「今考えると、結果を残さなきゃいけないという気持ちが強すぎたかもしれません。新しい環境でアピールしなきゃという気持ちもありました。その力みと焦りが悪いほうに働いて、ルーマニア時代にはありえなかったミスも結構あって」
――たとえば?
「相手にパスしたり」
――ボランチのポジションでプレゼントパスは致命傷になりかねない。
「言葉の問題もあって、監督が僕に要求してるプレーをいまいち理解できていなかったですね。監督も、僕ができることをちゃんと把握しているか微妙でした」