欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
CLに出る4人目の日本人になれるか。
瀬戸貴幸がルーマニアから狙う物。
text by
朴鐘泰Park Jong Tae
photograph byShigeki Yamamoto
posted2016/07/23 11:00
愛知県名古屋市出身、熱田高校を卒業後はブラジル留学、日本の地域リーグからルーマニアへ移り、いまやトップフットボーラーの1人だ。
トルコで結果を出して成長したかったが……。
――結果的に、冬の移籍マーケットでアストラに戻ることになった。何かきっかけは?
「9月あたりから出番が減っていって、10月に入ればメンバー外も多くなって。そしたらアストラの強化を担当している副社長から、『最近出てないな』ってメールが届いて。この副社長は元ルーマニア代表GKでまだ30代後半、元チームメートでもあるんです」
――たとえ出て行っても、アストラの人間は3部時代からチームを支えた功労者のその後を気にかけていた。
「12月に差し掛かると、『帰ってくる?』みたいな感じで言ってくれて。その時は僕、お断りしました。『まだトルコに残って、結果を出して、上手くなりたいから』って。12月末にリーグ前半戦の17試合が終わって、ウィンターブレイクの期間にキャンプがあったんです。そこで、新しい選手が加わって。同じトルコ1部でプレーしていたナイジェリア人のボランチでした。で、リーグ後半戦が始まって最初の試合、その新しい選手がメンバー入りして、僕はベンチ外。『ああ、これはもうチャンスなさそうだな』って思って、アストラ復帰を決断しました」
――今年1月末、レンタル移籍でのアストラ復帰が決まって、2月13日の試合に先発出場。
「戻ってきてホッとしたのはありましたけど、特に新しいことはなかったですね。(アストラは)メンバーもほとんど変わってなかったんで」
トルコとルーマニアの違いに戸惑い、人生初退場も。
――ご自身のブログにも書かれてましたが、復帰から2試合目(2月19日のボトシャニ戦)で「人生初の退場」。
「はい(苦笑)」
――なにがあった?
「ただのイエロー2枚だったんですけどね。1枚目(61分)は、判定に対して抗議というか、“なぜファウル?”というリアクションをしたら出ちゃって。その後すぐ(64分)、相手のカウンターを受けた際、ボールを持ってる選手を後ろから倒してしまって2枚目。僕はファウルで止める気も、倒す気もなかったんですが」
――アンラッキーだっただけ?
「いや、トルコとルーマニアのサッカーの違いに、最初はちゃんと対応できてなかったんです。トルコはルーマニアより当たりが激しくて、1対1をより重視するんですね。オスマンからレンタルで来たわけで、いずれはトルコに戻るわけだから、戻った時のことを考えて練習もしてたんです。そしたら監督に言われたんです。『前にいた時とプレーが全然違う。ヘタになってる』って。3月に書類の都合で何試合か出られない時期があって、その時期にしっかり練習して、勘を取り戻しましたね。そこからシーズンの終わりまで、ほぼノーミスでプレーできたと思います」