球道雑記BACK NUMBER
涌井秀章の横に石川歩がいる……。
後半戦ロッテは2人のエースで逆襲へ。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2016/07/12 07:00
プロ入りして1年目に10勝、2年目に12勝、そして3年目の今年は7月段階ですでに9勝している石川。
1週間のなかで、どこに疲れのピークを作るか?
そんな石川に今季の飛躍の理由を訊ねると、「自分でもまだよく分からない」と前置きしながらも今年、彼が意識している2つのポイントを挙げてくれた。
まず、1つめが1週間の使い方である。
「昨年は、週の最初に追い込んで、登板が近付いた後半になって落としていく感じだったんですけど、それだと体が軽くなり過ぎるかなと思ったので、今年はまず、最初に全部の疲れをとってから、週の半ばに追い込んで、ある程度、体に張りが残った状態で登板当日を迎えるようにしています」
そのやり方が合っているのかは、これからさらにシーズンが進んでいくにつれて明らかになっていくだろうが、5月17日の埼玉西武戦から7月2日のオリックス戦にかけて石川は、1つの完封勝利を含む7連勝を飾っている。これはひとつのサンプルになるかもしれない。
ちなみに過去2年のキャリアを遡っても、彼がこれほどの連勝を続けたことはない。自身初である。
当然、現在の調整法に迷いはないだろう。
「右の股関節にハメる」感覚でフォームが安定。
2つめのポイントに、石川は投球フォームの安定を挙げた。
自身の思い描く投球フォームのレールにさえ乗せれば、全力で投げなくても活きたボールが投げられる。それが自身の思い描く理想像であるとも答えた。
そのチェックポイントとして、彼はこう続ける。
「踏み出す方の足を自分は早く、強く着きたいタイプなんですけど、そのときに足が早くつけなかったり、弱くついたりしたときは、球がシュート回転したり、コントロールできなかったりするので、そこは常に意識しています。そのときに大事なのが右の股関節だと思っています。そこに(重心が)乗っていないと足を強く着けない。意識しているとしたらそこですかね」
石川はこの感覚について「右の股関節にハメる」という表現をする。
「簡単に言えば体幹が抜けていない状態のことです。お腹に力が入りやすいポジションであればいいという考えで、いつでも力が入れられる状態でいられれば、力を抜いて投げてもいいかなという発想です」