岩渕健輔、ラグビーW杯と東京五輪のためにBACK NUMBER
スーパーラグビー参戦は成功なのか。
岩渕健輔が感じる明確な進歩と変化。
text by
岩渕健輔Kensuke Iwabuchi
photograph byAFLO
posted2016/07/07 11:00
ワールドカップで日本に着いた火は、トップリーグ、そしてスーパーラグビーに確かに受け継がれている。
日本代表とサンウルブズをイコールに?
ただし、チームのアイデンティティーというテ―マに関しては、日本代表との関係という、難しい課題も浮かび上がってきます。
強化の点から考えれば、サンウルブズと日本代表は、限りなくイコールに近い関係にあるのが望ましいことになります。事実、2017年や2018年は、サンウルブズと日本代表はかなり連動して活動する予定ですが、サンウルブズは独自のアイデンティティーも確立していかなければいけません。
一朝一夕に答えが出る問題ではありませんが、日本代表とは異なるチームとして、スーパーラグビーに参戦していく効果はすでに現れてきています。
まずは日本人選手に与える、ポジティブな影響です。
たとえば現在のサンウルブズには、日本代表の選手だけではなく、代表資格がない選手も加わっています。これらの選手たちは、サンウルブズに愛情を抱いているだけでなく、試合でもいいパフォーマンスを発揮しています。結果、日本代表になる資格のある選手たちも刺激を受け、代表に名を連ねる重みをさらに認識するようになりました。
スーパーラグビーは、代表入りを目指すような選手が、経験を積んでいく格好の場にもなっていますが、「個」の強化ももたらします。この点で、山田章仁選手がトライ数でトップに並んでいるのは、かなり明るい要素だといえるでしょう。
サンウルブズのプレーが、代表に還元される。
最後は、サンウルブズの活動を通して、日本ラグビー全体のプレーの幅が広がってきている点です。
もちろん積極的に前に出てディフェンスをするスタイルや、緻密な動き方、組織的にボールを繋いでいくといった日本ラグビーの特徴は、サンウルブズにも根底で受け継がれています。
ただしサンウルブズは、日本代表よりもより攻撃的なプレーを目指していくことも可能です。そもそもスーパーラグビーでは攻撃的なプレーが数多く展開されますし、レフリーの判定の基準自体が、お客さんが喜ぶようなダイナミックでスピーディーなプレーが数多く見られるように設定されているのです。