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要領よく勝利を掴んだスコットランド。
ラグビー日本代表に欠けていたもの。
posted2016/06/28 11:00
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph by
AFLO SPORT
「無礼」
日本代表チームの通訳を務める佐藤秀典は、あえて強い言葉に訳した。
「2度のテストマッチを通じて、我々はちょっと無礼な扱いを受けたと思う」
6月25日、スコットランドとの第2テストマッチを終えての記者会見で、日本代表ヘッドコーチ代行のマーク・ハメットはそう言った。
この日、日本代表は後半9分には16対9と7点リードを奪いながら、以後4つのPGを許し、16対21の逆転負けを喫した。トライ数は日本の「1」に対しスコットランドは「0」。スコットランドの21点はすべて、日本の反則によるPGで挙げたものだった。
「スコットランドのコーチ陣とも話したけれど、彼らも『ベストチームが勝ったわけじゃない』と言っていたよ」
後半は相手の3倍もの反則が与えられた。
単純に、判定に不満をぶちまけていたわけではない。ハメットが使った言葉は「ディスリスペクト」。直訳すれば「リスペクト(敬意)を欠く」。意訳すれば「軽んじる」「不当に扱う」といったニュアンスだろう。ハメットは、発言の真意を重ねて問われると、「私は代理のヘッドコーチであり、ここで何か発言しても影響力はないと思うのだが」と前置きして、こう言った。
「私はサンウルブズのヘッドコーチとして、この6カ月、日本のラグビー選手を見てきて、彼らがどれだけ真剣にラグビーに取り組み、高いスキルを持ち、高度に戦術的な判断を下せるかをよく知っている。私はそれを、世界のラグビー関係者やファンに知ってほしいと思うけれど、レフェリーは不当な判定によって、日本のラグビーが正当な評価を得る機会を奪っている。そこに私は不満を持っているんだ」
この試合の公式記録で、反則数(PK、FKの合計)はスコットランドの8に対して日本は18。後半に限るとスコットランドの3に対して日本が9。一方が相手の3倍もの反則を科されるのは、確かに尋常ではない。