岩渕健輔、ラグビーW杯と東京五輪のためにBACK NUMBER
スーパーラグビー参戦は成功なのか。
岩渕健輔が感じる明確な進歩と変化。
posted2016/07/07 11:00
text by
岩渕健輔Kensuke Iwabuchi
photograph by
AFLO
こんにちは。日本ラグビー協会、代表GMの岩渕健輔です。今回はリオデジャネイロ五輪まで、また皆さんとともに日本ラグビーの現状について、一緒に考えていきたいと思います。
皆さんもご承知の通り、今年の日本ラグビー界では大きな動きがありました。その1つはサンウルブズというチームが新たに結成され、2月からスーパーラグビーに参戦し始めたことです。
ではサンウルブズの活動を、どう評価すべきなのでしょうか。
まずポジティブな面で言えば、日本のチームがスーパーラグビーで戦っているのが当たり前になったというのは、大きな収穫として挙げられます。
日本ラグビー界全体が、それだけ世界を身近なものとし、本当に厳しい環境の中で切磋琢磨していけるようになったということに他ならないからです。
また試合会場に足を運んでいただいた方はご存知かと思いますが、サンウルブズの試合には、これまでラグビーに関心を持たれなかった方にもたくさん来ていただいています。さらにはサンウルブズの旗を振りながら、トライが決まった際には、皆でオオカミの遠吠えを真似するといったような、新しいファンのカルチャーも生まれてきました。
ファンの皆さんの目が肥えることも、日本ラグビー界全体のレベルの底上げには不可欠です。こういった事柄も、スーパーラグビーに参戦すればこそ、実現したものでした。
結果が出るまでに時間がかかるのは覚悟していたが。
しかしサンウルブズの1年目の活動に関しては、来シーズンに向けて改善すべき課題もいくつか浮かび上がりました。
たとえば現時点での成績は、1勝1分け11敗という結果になっています。
もちろん、以前にこのコラムで述べたように、コンスタントに結果を出せるようになるまでには、相応に時間がかかることは覚悟していました。
とはいえ、結果は厳粛に受け止めなければなりません。
やはり大会に参戦した以上は、結果を出していかなければなりませんし、サンウルブズの目標は大会に参戦することではなく、あくまでも世界の強豪から勝ちをもぎ取り、その経験値や自信を日本ラグビー界全体にフィードバックしていくことにあるからです。
しかし今シーズンは、なかなかパフォーマンスが安定しませんでした。試合を通しても、リーグ戦全体でも、プレーのレベルに波があったのは事実です。