“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
U-16代表が目指す“長友佑都イズム”。
小さくても世界と戦う方法を考える。
posted2016/07/04 07:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
6月22日から26日にかけて、鳥取県で行われたインターナショナルドリームカップ。森山佳郎監督率いるU-16日本代表は、U-16ハンガリー代表、U-16マリ代表、U-16メキシコ代表と戦い、2勝1敗の2位で終えた。
この大会を通じて、森山監督はある日本代表選手の名前を例えに出し、若き選手たちに成長を促した。
「長友佑都を見習え」
身長170cmの長友は、日本サッカー界でも小柄な部類に入るだろう。ずば抜けたテクニックがある訳でもなく、高校時代から運動量と球際の強さが光る“汗かき屋”だった。
愛媛の中学校から名門・東福岡に挑戦し、厚い選手層と実力差という厳しい現実に直面しながらも、そこで生き残り、さらには上にのぼっていく術を見出した。明治大でも変わらぬ姿勢を貫いた結果、FC東京へ。そのストーリーの過程でも、彼のストイックさと自己分析能力はさらに研ぎ澄まされ、ついにこの小柄な日本人は、フィジカル的にもハードなイタリア・セリエAで、確固たる地位を築くに至っている。
「選手たちに映像も見せたのですが、長友選手のように小さくても、自分で技術、戦術、メンタル、フィジカルなどで戦略を立てて、『心技体』すべてを使って自分を高め、世界の舞台で対等に渡り合っている選手はいる。16歳の選手たちもその意識は必要なんです」(森山監督)
そして若き日本代表たちは、大会の第2戦のマリ戦で早速、身体能力の決定的な差を目の当たりにすることになった。
逆転、完敗を喫したマリ代表に対して悔しさを!
急加速のスピード、イーブンボールだと思って飛び込んでも相手の長い足に先に触られ互角の戦いに持ち込ませてもらえなかったマリ戦。そして身体能力の差だけではなく、気迫の差、勝利への執念の差まで露呈し、1-2の逆転負けというスコア以上に相手との差を痛感させられるゲームとなった。
「ここからリベンジの戦略を立てて、『またこの相手とやりたい!』と思わないといけない。というより、思って欲しい。この相手をギャフンと言わせたい。そのための技術、戦術、メンタル……そしてフィジカル。『またフィジカルか』と言われるかもしれないけど、対峙しても取れない、フィフティーの条件になったらボールを触れないというようでは、到底通用しないですから」
森山監督の厳しい注文が飛んだが、日本にはその期待に応えられるだけの才能を持った選手がいるのも、まぎれも無い事実だ。