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「バカ正直」ではW杯で勝ち上がれない。
大勝と惜敗で揺れる日本代表の実力。
posted2016/07/02 11:00
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph by
Takuya Sugiyama
「ボスニアの方がリアリストで、我々は正直者だった」
ヴァイッド・ハリルホジッチ(サッカー日本代表監督)
日本がロシアW杯で勝ち上がるためには何が必要だろう。
たとえば2014年W杯を振り返ると、グループリーグで失点2以内の国(ブラジル、メキシコ、コロンビア、コスタリカ、フランス、ドイツ、ベルギー)はすべてベスト16に進出していた。失点3となると、突破4国・敗退3国となり、もはや安泰でなくなる。当たり前かもしれないが、W杯ではまず失点しないことが大事だ。
とは言っても、得点が少なすぎてもダメである。失点2以下ながら、2010年W杯ではアルジェリア(得点0・失点2)、ニュージーランド(得点2・失点2)、スイス(得点1・失点1)、2006年W杯ではパラグアイ(得点2・失点2)、アンゴラ(得点1・失点2)、2002年W杯ではアルゼンチン(得点2・失点2)がグループリーグで敗退した(ちなみに1998年W杯は、失点2以内の国はすべてグループリーグ突破)。
5大会に限って言えば、3試合で3得点・2失点が、大雑把な当落線のイメージになる。実際、日本がグループリーグを突破した2大会は、この条件を満たしていた(2002年W杯:5得点・2失点、2010年W杯:4得点・2失点)。
キリンカップで日本が見せた2つの異なる顔。
他にもラッキーボーイの出現、ベテランによる落ち着き、協会によるバックアップ体制など挙げればきりがないが、その中からあえて今回取り上げたいのは、ハリルホジッチ監督が指摘する「バカ正直問題」だ。
6月上旬のキリンカップにおいて、日本はまったく異なる2つの顔を見せた。
3日のブルガリア戦では香川真司と清武弘嗣を中心にしたショートパスの崩しが見事にはまり、ノリに乗って7対2という大差で快勝。技術・俊敏性・連動性が融合した日本サッカーの未来像を示すような、素晴らしい内容だった。