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3戦0封で突破もドイツ本命説に異論!?
20年ぶりのEURO制覇を阻むものとは。
text by
遠藤孝輔Kosuke Endo
photograph byGetty Images
posted2016/06/26 08:00
次世代のドイツ代表を牽引する存在と評価されているキミッヒ。所属するバイエルンでは本職のボランチからコンバートされたCBでのプレーが多い。
定位置を奪われたヘベデスも起用法に納得。
ここで気になるのは1~2戦目で先発しながら、右サイドバックの定位置を明け渡したヘベデスの心境だろう。しかし、所属クラブのシャルケでキャプテンの重責を担う人格者のDFは、北アイルランド戦後に自身のツイッターにこう綴っている。
「ヨシュアは素晴らしかった。(自分を外し、ヨシュアを先発させた)監督の決断は正しかったよ。個人のエゴなんて捨てて、チーム一丸で大きな目標に突き進まないとね」
ドイツメディアがこの殊勝なコメントを聞き流すはずがない。大衆紙『ビルト』はキミッヒを称賛する記事を「逞しいキミッヒ、逞しいヘベデス、強固なチームスピリット! だから、ドイツは欧州王者になれる」という一文で締め括っていた。
そう結論付けるのはいささか早急な気がするが、ドイツが依然として優勝候補である事実に変わりはない。大国不在のグループリーグで課題が浮き彫りになったのも、この苦境こそ筆者自身は追い風になると見ている。なにしろ4年前はポルトガル、オランダ、デンマークと同居した死の組をほぼ文句なしの全勝で駆け抜けた結果、準決勝のイタリア戦を前に決勝のことを口にするなど、選手たちに相当な慢心が芽生えてしまっていたからだ。
決勝トーナメント1回戦で激突するのは、奇しくもドイツが最後にネットを揺らされたスロバキア。ホームで土をつけられた5月29日のリベンジを果たし、20年ぶりとなる戴冠への弾みをつけられるか。
問われるのは智将レーブの修正力であり、ミュラーやエジルら沈黙気味のアタッカー陣の真価だ。