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本田圭佑が国連財団の「支援者」に!
世界の子供たちが夢を持つために。
posted2016/06/28 07:00
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph by
Ayako Oikawa
夏らしい涼しげなスーツ姿の男性が姿をあらわすと、集まった人たちが一瞬息を呑んだ。
「この度は、若者に自立の機会と持続可能な社会を作ることを使命にしている国連財団の『Global Advocate for Youth(青少年のための国際的な支援者)』に選んでいただきとても名誉に思います」
ACミランの本田圭佑は、緊張した面持ちでこう話し始めた。
「サッカー、起業家、父親、そして教育者としてこれまで学んでたことを皆さんと共有していきたいと思います。若者と彼らの夢なしでは、この世界はより良いものにはなりません。過去7年間、子供たちに希望と夢を与えることを目標に活動してきました。前進している部分もありますが、まだまだ支援が必要です。国連財団と協力することによって、子供たちが輝くことができる持続可能で平和な社会を作れると思います。一緒に子供たちに夢を与え、繋げていきましょう」(*英語のスピーチから一部抜粋)
4分近くに渡る英語のスピーチを終えると、会場からは大きな拍手が送られた。記者たちにメモなしでのスピーチについて質問されると、「英語で話す機会はあまりなくて、試合よりも緊張しました。でもカッコ悪いところは見せられないので、練習しました」とほっとした表情を見せた本田。子供たちへの熱い情熱が伝わる堂々としたものだった。
直面した、貧困地域の子供たちの厳しい現実。
『Advocate(アドボケイト)』という言葉に耳慣れない方もいると思うが、支援者のほかに、弱い立場にある人の代弁者という意味も持つ。恵まれない環境にいる子供たちの苦しみや痛みを理解し、それを世界に発信したり、支援していくことが本田の役割の一つになる。
本田は以前からサッカークリニックを通じて社会貢献活動をしていたが、課題も抱えていたという。貧困地域でサッカークリニックを行なった際、参加した子供たちは無邪気にボールを追いかけているが、クリニックが終われば学校にも通えず、働かなければいけない現実に直面する。そういった状況に本田は心を痛めていた。子供たちの表情に時おり浮かぶ暗い陰をとりのぞいてあげたい、と。