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マンUとモウリーニョの復活が始まる。
240億円の予算で「背骨」は出来るか。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2016/06/04 10:30

マンUとモウリーニョの復活が始まる。240億円の予算で「背骨」は出来るか。<Number Web> photograph by AFLO

ファンが持参したマンUのユニフォームにサインするモウリーニョ。長らく青いユニフォームで戦ってきただけに、この赤は新鮮だ。

CF候補のイブラとルカクはともに超高額。

 背骨の先端に相当するCFの獲得候補は、今年35歳のズラタン・イブラヒモビッチ(PSG)から23歳のロメル・ルカク(エバートン)まで多彩。週給にして4000万円を下らないイブラヒモビッチの年俸はプレミアでも破格だが、移籍金が発生しない。

 モウリーニョが獲得にこだわれば、フロントはその存在感がチームへの自信と同時にクラブへのPR効果をももたらすスーパースターの獲得に本腰を入れるだろう。ルカクの移籍金は6500万ポンド(100億円強)とも言われるが、プレミア経験と将来性という付加価値を考えれば、プレミア最大の収益力を誇るマンUには許容範囲内だ。

 背骨の肉付けとしては、24歳の万能DFフィル・ジョーンズを右SBに固定して使う策も考えられる。チェルシーで本来のCBではなく右SBに定位置を見つけたブラニスラフ・イバノビッチと同様、後方から馬力のある突破で攻撃にも貢献する姿は想像に難くない。逆サイドには今夏で21歳のルーク・ショーが昨年9月からの長期欠場から復帰する。

 前線アウトサイドには、移籍1年目にして「本物」と言われたアントニー・マルシャルを筆頭に、メンフィス・デパイ、ジェシー・リンガード、そしてクラブのU-18メンバーから今夏のイングランドEURO代表メンバーに化けたマーカス・ラッシュフォードといった顔ぶれから、既にプレミア経験のある肉付け素材を選べる状態だ。

ワンマン経営ではないマンUのフロント体質。

 チェルシーでは2期目も若手登用に積極性を欠いたモウリーニョだが、マンUでは巷で苦手と言われる「育成」にも取組みやすい。だからこそ、3年契約終了後の続投さえも予感させる。

 只でさえマンUのフロントは、モウリーニョにすれば良い意味で異質のビッグクラブ経営陣だ。これまでに経験したチェルシー、インテル、レアルのフロントとは違い、オーナーや会長の一存による人選、またはフットボール・ディレクター主導の補強による選手を押し付けられる心配がない。モウリーニョは、チームへの干渉は最小限で監督への支援は最大限の経営陣を後ろ盾に、存分に「結果商売」の現場監督として超一流の腕を振るうことだろう。

【次ページ】 チェルシーでは幻に終わった長期政権もありうる。

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