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マンUとモウリーニョの復活が始まる。
240億円の予算で「背骨」は出来るか。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2016/06/04 10:30

マンUとモウリーニョの復活が始まる。240億円の予算で「背骨」は出来るか。<Number Web> photograph by AFLO

ファンが持参したマンUのユニフォームにサインするモウリーニョ。長らく青いユニフォームで戦ってきただけに、この赤は新鮮だ。

クラブの声明文にも、勝利への意識が透ける。

 前2体制での3年間は「過去として封印したい」と語る新監督の下、マンUが取り戻すべきはクラブの「伝統色」以前にイングランドの「強豪色」。失われた自信と威厳を回復する上で、勝利に勝る特効薬はない。

 モウリーニョとの3年契約締結を伝えるクラブの公式声明文は、冒頭に「'03年以来計22冠の指揮官」とあった。攻撃志向と育成意欲がクラブの伝統と合致するマウリシオ・ポチェッティーノ監督をトッテナムから引き抜くわけでもなく、その伝統が体に染み付いているマンU生え抜きのライアン・ギグスを助監督から内部昇格させるわけでもなく、敢えて現実志向の「勝者」を新監督に選んだクラブの「強豪復活」にかける意気込みが伝わる1行だった。

 一方のモウリーニョは、「スペシャルな勝者」としての姿を改めて世に知らしめる必要があった。そのための新任地には、チェルシーをシーズン前半戦で追われる屈辱を味わったプレミアの強豪が最適だった。

 リーグとして格下と見られているリーグ1のPSGや、出戻りとなるリーガ・エスパニョーラのレアル・マドリーのような国外の強豪ではなく、曰く「ジャイアント・クラブ」のマンUこそが理想の現場復帰先だったのだ。

求心力低下も囁かれるモウリーニョの正念場。

 そのマンUは、ファーガソンの後任3代目の下でもプレミア優勝候補としての姿を取り戻すことができなければ、いよいよ本格的に「眠れる巨人」と呼ばれることになる。

 モウリーニョは「求心力」で知られていたはずが、チェルシー時代には主力の心離れが指摘されていた。「下り坂」という言葉も囁かれ始めているモウリーニョにすれば、来季からジョゼップ・グアルディオラ(マンC)とアントニオ・コンテ(チェルシー)も相手監督として加わるプレミアで、マンUを「イングランドの雄」として再認識させる仕事に勝る面目躍如はない。

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