サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
南野拓実の視点で振り返る1勝3敗。
確かに見られた欧州での成長の跡。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byAFLO
posted2016/06/01 10:40
ボールに絡んだ時は、他の選手とは違う力強さを見せた南野拓実。チームを「勝たせる」選手になれるか。
南野「相手にとって怖いプレーを」
「自分が出たポルトガル戦とギニア戦は、いくつかいい攻撃ができてシュートまでいっていたし、相手に対してまったく何もできないという印象はなかった。ただ、決め切れなかった。それが反省やったし、個人的にはもっと仕掛けてシュートまでいけるシーンを増やして、相手にとって恐いプレーをしていかないといけない。それに前線で連動しないと相手を崩せないし、点を取れないんでそこは意識しました」
イングランドはそれまで3戦全勝でグループ最強であり、最も難しい相手だった。そのため個人の仕掛けからだけではなく、前線の選手が連動してゴールを奪うことがより必要になる。南野はそういうプレーを意識してイングランド戦に臨んだ。
だが、簡単にはうまくいかなかった。南野がDF陣にプレスをかけてボールがこぼれたシーンがあった。しかし、近くにいたオナイウ阿道の反応が鈍く、連動したプレーができなかったのだ。もしボールを取れていれば決定的なチャンスになっただけに、南野は「なんで連動しないんだ」と大きなゼスチャーで、常に仲間の動きを見て感じることを要求した。
結局、イングランドに先制され、相手の堅守にゴールを奪えず、0-1で敗戦。
ミスからの失点は、国際試合では命取り。
「ポルトガル戦と同じで進歩がない」
南野は厳しい表情で、そう言った。
先制され、引いて守る相手を崩し切れずに完封負けという敗戦パターンを繰り返すことほど悔しいことはないし、あってはならないことだ。そもそも代表チームが負けていい試合などひとつもないのだ。それゆえの厳しい表情だったのである。
「基本的に勝負強さが足りず、決定力がない。それが今回の敗因だと思います。それにシュートの意識が足りないのを感じました。どの試合も自分を含めて、もっとシュートを打たないといけない。とくにイングランド戦の最後の時間帯はもっとシュートを打つべきやなと感じましたね。それが今回出た課題のひとつ。
もうひとつは失点ですね。毎試合失点しているし、ほとんどがミス絡み。五輪本番やとそれが命取りになるし、国際試合で追い掛けてひっくり返すのはかなり苦しい。2点取らないといけないというプレッシャーはリオ五輪の本番になるともっと出てくると思うんで、守備は修正していかないといけない」