サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
向かい風こそが五輪代表の「常態」。
故障で守備陣半壊のU-23、策は?
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byAFLO
posted2016/05/23 12:20
岩波、植田、奈良が争うCBはチーム最大のストロングポイントだった。スタイルの根幹から見直しが求められる。
新戦力組でもすぐにチームにフィットできる理由。
アジア最終予選の主力を何人も欠くなかで、パラグアイ戦ではMF野津田岳人(アルビレックス新潟)がスタメンでフル出場した。
5月11日のガーナ戦に続いて2列目の右サイドを担ったこのレフティーは、ケガさえなければ最終予選に出場していたかもしれない選手だ。ダブルボランチのひとりとなった喜田拓也(横浜F・マリノス)も、野津田と同じようにケガで最終予選の選考から外れている。彼らはニューカマーではない。
岩波の負傷で急きょピッチに立った三浦弦太は、奈良の負傷で追加招集された選手である。ただ、彼も手倉森監督のサッカーには以前から触れている。'14年12月以来の招集を受けた4月の静岡キャンプをきっかけとして、CBの競争に再び加わってきた。
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FW富樫敬真は新戦力だ。
4月の静岡キャンプで初招集され、ガーナ戦でデビュー戦初ゴールをマークした。パラグアイ戦では2試合連続弾を逃したものの、「少なからず手応えはあった」と話している。
パラグアイ戦で失点に絡んだファン・ウェルメスケルケン際も、「チームのやり方は分かってきた。ディティールの部分を詰めていければ」と、ネガティブな印象は抱いていない。チームの土台が出来上がっているからこそ、彼らのように遅れてきたタレントが素早くフィットできるのだ。
これからの戦いは、より守備が重要になるが……。
パラグアイ戦の内容は、率直に言って評価できるものではなかった。
1-2で競り負けた直接的な敗因は、決定機を生かし切れなかったからである。より大きな視点に立てば、ボールを握ることが目的化した時間が長く、相手守備陣に脅威をもたらせなかったことがあげられる。
24日(日本時間 0時15分キックオフ)に対戦するポルトガルは、直線的でスピーディな攻撃を仕掛けてくる。パラグアイ戦よりもはるかに、守備に追われるゲーム展開となるだろう。
'90年代の代表DFだったガレス・サウスゲートが率いるイングランド(28日)は、そのポルトガルに初戦で勝利している。ギニアの身体能力は、日本が11日に3-0で勝利したガーナを上回る。グループ2位以内を確保してさらに1試合の経験を積むのは、かなり困難なミッションと言わざるを得ない。