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グアルディオラの3年間は成功か?
3年連続でCL準決勝敗退の功罪。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byA. Beier/Getty Images for FC Bayern
posted2016/05/06 15:00
ペップが最後にCL優勝を経験したのはバルサ時代の5年前。バイエルンでのビッグイヤー獲得は果たせなかった。
ペップがバイエルンで執着したこととは?
彼らは阿吽(あうん)の呼吸でポジションを入れ替えた。それまではリベリーが内側で、アラバが外側でプレーしていたのだが、15分過ぎからはリベリーが外側、アラバが内側でプレーするように。ボールを支配しながら相手の守備を広げ、そこから崩していくために、サイドのポジショニングが大きな意味を持つ。
ペップがバイエルンに来た当初に繰り返し取り組んだことの1つも、その点だった。
まずピッチを縦方向へ5つのエリアにわけた。左右のタッチライン、ペナルティエリアの左右の縦のライン、ゴールエリアの左右の縦のラインで5つの縦のエリアを線引きし、サイドバックとサイドハーフが同じエリアに入らないように徹底させていた。
この試合では、序盤はアラバが一番外のエリア、リベリーがペナルティエリアからゴールラインまでのエリアにいたが、相手チームの並びが変わったのを見て、2人はポジションを入れ替えたのだ。リベリーが一番外側のエリアに回ったことで、アトレティコの守備はどうしても広がってしまう。
この状況にたえかね、21分ころからはグリエスマンを再びトップに戻し、試合開始時とは両サイドのMFを入れ替え、右MFにコケ、左MFにサウールを配した。
アトレティコのポジションチェンジが勢いをそいだ。
もっとも、アトレティコの守備がリベリーとアラバのポジションチェンジに対応しようとする間に、バイエルンは次々とチャンスを作っていった。そしてシャビ・アロンソのFKから31分に先制すると、さらに33分、アラバのパスを受けたリベリーがドリブルからクロスを送る。これはCKに逃げられたが、このCKの際にヒメネスがマルティネスを倒したことで、PKが与えられた。しかし、ミュラーが蹴ったPKをオブラクがブロックして、追加点は奪えなかった。
ここから先は、メンバーを入れ替えたアトレティコの守備陣もようやく安定をとりもどし、1-0のまま後半を迎える。そして、後半開始時からアトレティコは4-4-2から4-1-4-1へ変更。グリエスマンは再び右MFにまわり、サウールはアンカーの位置へ。フェルナンデスと交代で入ったカラスコが左MFへ入った。
この変更により、バイエルンの攻撃は勢いをそがれてしまう。